フェノールの合成①
さて今回からはフェノールの合成について
特徴で紹介した通りフェノールはシンプルに言えば
ベンゼンのHの1つがOH基に置きかわったもの だ。
なのであんまり深く考えないと
以下のような感じだろう
と考えてしまうかもしれない。
が、このようなことは起こりえない。
なぜならOH+のような求電子性のものは基本作れないからだ。
※"基本"としているのはやろうと思えばできるけど
□膨大なエネルギーが必要なので難しい&非生産的なのです。
ということでこの方法に頼らずにフェノールを合成する方法としては以下のようなやり方があります。
1.芳香族置換反応
2.アレーンジアゾニウム塩の加水分解反応
3.クメンヒドロペルオキシド法
4.パラジウム触媒を用いるカップリング反応
5.Claisen転位
ではいつものごとく順番にいってみよー。
1.芳香族置換反応
基本的な考え方は ベンゼンの反応① で登場しているので
忘れてたらそっちも読んでみてね。
(1)基本
まず芳香族置換反応(nucleophilic aromatic substitution)とは?
例えば以下のような反応になります。
まぁこれだけみても でっ? って感じになると思うので
反応機構の方を見てみよう。
ハロアルカンのSN2反応とは対照的にこいつは2段階反応
つまり付加-脱離反応になります。
参考:カルボン酸の反応②、カルボン酸誘導体
①付加
まず以下のように求核剤が付加する。
すると見ての通りベンゼン環内で負電荷が発生し、共鳴が起こる。
なのでこれを安定化させるためにオルト位やパラ位に電子求引基が必要になってくるんだ。
②脱離
そして良い脱離基であるハロゲンが名前のごとく脱離していきます。
ちなみにこの反応はイプソ置換(ipso substitution)と呼ばれています。
ipsoとはラテン語で「それ自身に」という意味。
つまり、同じ位置に置換が起こるっていう意味でこういった呼ばれ方をしています。
ちょっと短いですが、キリもいいので今回はこの辺で・・・。
ではまた次回。
© 2022 猫でもわかる有機化学