酸性の強弱

2020年6月6日

基礎編:酸・塩基の平衡ではpKa(酸解離定数)から酸性、塩基性の強弱が判断できるっていう説明をしたよね。
今回は酸の強弱について、もう少し掘り下げて紹介するよ。

さて、何はともあれこの式から

まずこの式から
Kaが大きくなる
⇒HAよりも分解後のHとAの量が多くなること
っていうのが見えてくる。

これはブレンステッドの定義であるHを出すものが酸にも繋がっているね。

で、上記をまとめると
Hが出やすい酸性が強いっていう推測が出来る。

ただHが出やすいって言われても?になるよね?
なのでここでは少し視点を変えて考えるよ。
どうするのかというとHでなくA、つまりは共役塩基を基準で考えてみようというわけ。

まずHが出やすいっていうことはそれだけ共役塩基が出来やすいっていうことがわかる。
「出来やすい」っていう言葉を言い換えると共役塩基の状態である方が安定しているっていうことなんだ。

つまりは共役塩基が安定なものほど酸性は強いっていう話。

では共役塩基の安定に関係するものをいくつか紹介していくね。

誘起効果

ざっくりいうと電気陰性度の差によってσ結合が分極して引き起こされる力のことだよ。
σ結合っていう単語はあえて使っていて、距離が近いほうが効果は大きいんだ。
もちろん結合を隔てて距離が遠くなるとその分効果が弱まる
別名Ⅰ効果
由来は・・・英訳してみてね。

既に少し書いてしまっているけど電子を「引っ張ったり」「押し出したり」する力なので2種類ある。

電子求引性誘起効果

これはハロゲンとかOHなんかが結合した時に起こるよ。
なんでかっていうのはいうまでもないかもだけど・・・電子がより安定を求めて電気陰性度の高い方に集まるからだ。

名前のままだけど電子を求引する形になっている。
別名-Ⅰ効果
」がついてるのは電気陰性度が高い原子が少しばかり負(δ-)に帯電するからって考えるとわかり易いと思います。

電子供与性誘起効果

これはアルキル基ONなど電子が有り余っており誰かにあげないと不安定なもので起こるよ。

こちらも名前のままで電子を供与する形になっている。
別名は予想どおりの+Ⅰ効果
理由は「-効果」の時と逆になるからです、はい。

さてここで大事なのは上の2つの内どちらがより共役塩基安定のか?ということ。
共役塩基が安定(出来やすい)な状態っていうことは?

そう、電子を求引する力が強い方がHは出やすく、酸性が強い
例えば電子求引をするハロゲンでしかも一番電気陰性度が高いフッ素なんかだと酸性度がとても強くなりますよって話。

共鳴効果

こっちは2重結合のπ電子や、非共有電子対が関与するπ結合の分極で引き起こされる力のことだよ。
Ⅰ効果は距離が遠くなると弱くなるっていうことは説明したけど、今度はπ結合なのでちょっと勝手が違ってくる。

π結合はσ結合より結合が弱い分、電子が広い範囲をほぼ自由に運動するので距離が遠くなってもほとんど力が弱まることがないんだ。
だから誘起効果よりも効果として強く現れることが多い
※例外として、電気陰性度が極端に強かったら
逆転する可能性もなくはない。
何事も理不尽な規格外っていうのがいるんだよね。。。

別名R効果
由来は…こちらも英訳してみてね。

これも誘起効果と同じく2つある。

電子求引性共鳴効果

別名はお察しの-R効果
結局のところ誘起効果って移動する電子が少ないのだけれど、こちらは完全に電子2つが移動して+、-に分かれるよ。
例えば2、3重結合に電気陰性度高いOやNがついてたらこんな感じになりる。

電子供与性共鳴効果

別名は安定(笑)の+R効果
O とか N とか S とか ハロゲン が二重結合に結合しているときに・・・まぁ例を見ながらの方が早い。下図をどうぞ。

原子の非共有電子対が二重結合に流れ込ん分極するってことだね。

どっちがより酸性度が高いのか?っていう点については誘起効果と同じ見方で大丈夫です。

共鳴

共鳴構造が出来ている時はどういう状況だったか覚えているかな?
※忘れてたら 基礎編:共鳴 を。

電子が非局在な状態、つまり負電荷が分散されている状態なんだよね。
では共役塩基はどういうものかというとAからわかるとおり負電荷を帯びている。

なんとなく想像がついたかな?
そう負電荷が分散するから共役塩基も安定するんだ。
つまり酸性が強くなるっていうこと。
もう一つ付け足すと、共鳴構造が多いほど共役塩基は安定するっていうこともいえる。

例えば

だと(A)がより安定になる。

(A)

(B)

上の通りで(A)の方がより多くの共鳴構造が描けるからね。
※本当は電子が一周できるまで共鳴構造は書けるけど
(A)(B)に違いがないので今回は省略します。

超共役

※詳しくは 基礎編:ラジカル を。
ざっくりいえばアルキル基が2重結合の近くにあると、電子を押し出して安定するっていうことになります。

混成

※詳しくは 基礎編:混成軌道 を。
これはs軌道の方がp軌道よりも原子核に近いから
s軌道の割合が大きいものほど共役塩基が安定で酸性が大きくなるよって話です。

芳香族性

主だった性質とかについては 基礎編:有機化合物の分類 を。
例えば下図のベンゼンについて。

ベンゼンは共役に関与している電子の数が6個ある。
この共役に関与してる電子って言うものは言い換えるなら共鳴のときに動く電子の数ってことなんだ。
今まで共鳴の時には電子が2つずつ動いてたけど、ベンゼンは2重結合が3つあって、それぞれ共鳴に関与できるから電子の数は
2×3で6個になる。
共鳴の時に動く電子の数が今まで通り多いってことはその分負電荷も増えるってわけで・・・まぁ後はご想像の通りです。

いつもよりえらい長くなってしまった。
最後まで読んでくれてありがとう。
お疲れ様でした。

ではまた次回

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