アルケンの反応⑤

2020年6月6日

それではラストです。
前回の続きから

9.HBrのラジカル的付加反応

アルケンとハロゲン化水素の反応は
一番最初の 2.ハロゲン化水素の求電子付加反応
でやったけど、これをラジカル(※)的に反応させる。
※内容が怪しそうなら事前に
基礎編:ラジカル
基礎編:ラジカルの安定性
をご参照。

反応の内容だけ簡単にいうと、
空気中に放置しておいたアルケン と HBr
の反応だ。

さてここで 2.ハロゲン化水素の求電子付加反応 で紹介した
マルコフニコフ則のことを思い出してほしい。

「Hは置換基の少ないCに、ハロゲンは置換基の多いCに結合する」

だったよね。
見ての通り今回はになっている。
そう、これが所謂 逆マルコフニコフ の反応だ。

この反応が発見された当時
人によって反応の結果が違うものだから
結構驚かれていたらしい。

この反応が発生する理由としては
まずアルケンを空気中に放置することで
光などの影響により、過酸化物(ROOR)が出来る。
この過酸化物がラジカルを発生させる。
だからラジカル的な反応が起こるんだ。

さてこの場合に気になることがあるんじゃないかな。
じゃあ求電子付加反応では起こらないのか?
ってね。
これには反応の早さが関係していて、ラジカル連鎖反応の方がずっと早い
だからラジカルの連鎖反応が起こりうる条件下では
こちらの方が優先して進んでしまうんだ。

既に書いているけどこれは連鎖反応なので
とにかく安定な方に進む。
※後で出てくるけど
安定な方向がなくなると反応が止まります。
ちょっとその辺りを意識して読んでみてね。

①開始反応(ラジカルが発生)


ちなみに
Δは熱を加えたって意味で
ΔH
切断するエネルギー – 生成する結合エネルギー
の結果になります。

②伝搬段階1(ラジカルとHBrが反応)

この②以降はエネルギーが-(マイナス)にならないと
2.ハロゲン化水素の求電子付加反応
の方が優先されてしまう。
⇒連鎖反応は止まってしまうってことです。

③伝搬段階2(ハロゲンラジカルとアルケンが反応)

この段階で 逆マルコフニコフ になる。
なぜかっていうのはラジカルの安定性がどうなっていたか思い出してほしい。
※忘れていたら 基礎編:ラジカルの安定性

④連鎖停止反応

そして最後にもう一度ハロゲン化水素と反応して生成物が完成する。

さて↑の例でHBrと書いているけど、実はこの反応は他のハロゲン化水素では起こらない

HFとHClの場合は
HF、HClの結合エネルギー>RO-Hの結合エネルギー
なので②の部分でエネルギーが+になり、反応が止まる。

HIの場合は
HIの結合エネルギー>RO-Hの結合エネルギー
となるので②はOKだ。
だけどその次の③で
H-(CH=CH)の結合エネルギー>C-Iの結合エネルギー
でこれまたエネルギーが+になり、反応が止まってしまうという訳だね。

なのでこの反応はHBrでしか起こらない、ということも抑えておこう。
ちなみに過酸化物(ROOR)を使う場合の反応は以下のように描かれます。

10.アルケン同士の反応

これはまぁ、おまけみたいなものです。
そうなんだーくらいに考えてください。

とりあえず例として以下の反応を見てほしい。

これはアルケン同士が酸性水溶液(硫酸とか)中で反応している様子だ。
注目してほしいのは2つの同種の分子が1つのまとまった分子になっている点。
この1つにまとまったものを二量体といい
これを形成することを二量化っていう。

同じ分子を使えば当然、三量体、四量体…
と増やすことが出来るわけで、このことを重合っていいます。

この重合は結構 果てない数 で行えるので
ざっくり以下のようによんだりしてます。
・単量体:monomer(モノマー) ※重合の基準
・二量体:dimer(ダイマー)
・三量体:trimer(トライマー)
・四量体:tetramer(テトラマー)
(略)
・重合が有限個(10~100個):oligomer(オリゴマー)
・重合が100個以上:polymer(ポリマー)
※oligomer以上は諸説あります。

重合については他にも
ラジカル重合、アニオン重合、金属重合…などたくさんあるので
興味がある人は調べてみてくだされ。

特にポリマーは日常生活で大くに使われているもので
代表的なものは所謂プラスチック

例えば下のようにエテンの重合化でポリエチレンができる。
※nは莫大な数と思ってくれればOK

長くなったけどがアルケンの反応は以上です。
お疲れ様でした!

ではまた次回。

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