アルケンの特徴③

2020年6月28日

それでは前回の続きから

5.水素化熱

まずは水素化熱について。
簡単にいえば
水素化 に必要な 熱 のこと。
詳しく言えば
二重結合に水素をくっつけて単結合にするのに必要なエネルギー(反応熱)
のこと。
化合物に水素を付加させることが水素化を呼ばれてます。

これで何が分かるかというと、アルケンの相対的な安定性数値で見ることが出来るんだ。
まぁこういうのは例を見た方が早い。

前回4.で紹介した
cis-2-butene
trans-2-butene
1-butene
がそれぞれbutaneになる時の様子を表している。

ちなみにΔH水素化熱ね。
ΔH≒ΔGになるので、ΔHが小さいほど不安定
つまりは反応が起こりやすいってことになるんだ。
※ピンとこなかったら 基礎編:反応と平衡

ΔHの大きさは見ての通りで
trans-2-butene > cis-2-butene > 1-butene

安定性の具体的な話は6でやるけど、安定性の順番も同じなります。

6.相対的安定性

さて、5では反応熱の差からアルケンの安定・不安定を判断したよね。
今度は構造の見た目から判断する方法を紹介するよ。

ポイントは大きく2つ。
では順番に紹介していこう。

トランス体はシス体より安定

構造を想像してもらったらなんとなくわかるんじゃないかな?
シスの方がちょっと窮屈なイメージがあるよね。
そのイメージの通りで、結局置換基が同じ向きにある場合はお互いに反発が起こってしまう。
結果、不安定な状態になってしまうんだ。

注意点として、この考え方には例外がある。
小員環(Cが3個か4個)中員環(Cが8~11)シクロアルケンには適用されないんだ。
なぜかというと環のひずみのにより、シスの方がトランスより安定という現象が起きてしまう。

?が出てくると思うので、例としてcyclooctene(C8H16)のシス体とトランス体を見てみよう。

↑の通りでトランスがこんな感じに捻じれてしまうんだ。
こういった場合は、シスの方が安定になるってことだね。

置換基が多いほど安定

さっき置換基が同じ向きにあると不安定な状態にある
って説明したけど、以下の2つの要因のお陰でその問題が解消されるんだ。
・sp2混成軌道とsp3混成軌道の結合
・超共役
順番に説明するね。

sp2混成軌道とsp3混成軌道の結合

見たことあるキーワードだよね?
特徴①の総復習になんだけど、アルケンの2重結合と置換基はsp2混成軌道とsp3混成軌道の結合になっている。
そして双極子モーメントにより、sp2混成軌道とsp3混成軌道で電子求引性が発生している。
こいつらが合わさったことにより何が起こっているかというと
sp3-sp2がsp3-sp3よりも結合短く強固になっているんだ。
結合が強固=状態が変化しにくい
で、結合が強固なものが増えるとより安定なるよね。
だから置換基が多い程、より安定になるのです。

超共役

基礎編:ラジカルの安定性
で説明したものだけど、覚えているかな?
簡単にいうと

σ軌道の電子がエネルギー的に近い位置の空のp軌道相互作用する現象

だったよね。
置換基のσ結合の電子がラジカル電子のところに行き来することで安定っていう話だったんだけど
ようはこれと同じで置換基が増えるほど
置換基(アルキル基)のσ結合の電子(C-H部分)

二重結合部分のp軌道電子と相互作用(※お互いに行ったり来たりできる)
で電子が分散する。
これにより安定化できるんだ。

ということは、置換基が増えるほど行き来できるσ結合の電子も増えるよね。
だから置換基が多い程、より安定になるのです。

以上、長々とお付き合いありがとうございました。

ではまた次回。

 

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