アルキンの反応③

それでは前回の続きから。

5.水銀イオン触媒による水和反応

タイトルから分かると思うけど前回の 4.水和反応 と同じものができる。
1つ違うのはこっちの場合は末端アルキンでも使えるってところだね。
反応としてはこんな感じ

どうしてこんな反応が起こるのか?
まぁいつも通り反応機構を見てみよう。

まず、HgSOHg2+を求電子剤として用いる。
これがハロゲンと同じようにまず三角形を作る。

さてここで
なんでHOが置換基多い方に攻撃するの?
って思うかもしれないね。
これについては遷移状態を見てみると理由が分かってくる。

まずHOが結合してる部分がカルボカチオンになっている。
ということは置換基が多い方が安定だよね。
遷移状態が安定な方が反応は進みやすいから
置換基が多い方にHOが攻撃する、ということなんだ。
そして続きの反応は、4.水和反応 と同じくケト―エノール互変異性となる。

この水銀イオン触媒のお陰で最初に書いたけど
ただの水和反応では不可能だった末端アルキンに対しても
水和反応を起こせるってことだね。(超優秀)

6.HBrのラジカル的付加反応

反応については
応用編:アルケンの反応⑤
をご参照。

とりあえずアルキン版での反応はこんな感じ。

こいつは置換基の少ない方に結合する逆マルコフニコフだったよね。
アルケンになるのでcis体とtrans体のどちらもできちゃいます。

ちなみにこの時の生成物をハロゲン化アルケニルというよ。
こいつは1、S2反応を起こさない優れもの
なので以下のようにアルケンを追加できたりします。
※細かい話は 応用編:アルコールの合成③ をご参照。

7.ヒドロホウ素化―酸化

反応については
応用編:アルケンの反応③
をご参照。

とりあえずアルキン版での反応はこんな感じ。

上の通りでBHをそのまま使うと1回で終わらず
2回目のBH付加が進行してしまう。

このままではアルケンの部分を生成できないので
BHのHの部分を立体障害の大きいものに変えた以下のようなものを使う。

これにより逆マルコフニコフ則に従ったものが生成できるってことだね。
で、BHとRBHを置き換えると以下のようになる。

置換基が少ない方に結合するので逆マルコフニコフ
なんで同じ方向から近づくのにtrans体?と思う人もいるかもしれない。
実際のところ同じ方向から近づいてはいるのだけれど
直線に上から近づいている+立体障害を避けるため
trans体になる、と考えられております。

そしてこいつもケト―エノール互変異性となります。

アルキンの反応は以上。

ではまた次回。

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