エーテルの反応

2020年6月1日

さて前回まででエーテルを作るところまでいったので

最後にこのエーテルを使ってどんな反応が起こせるのか?を紹介していくよ。

主な反応は以下のとおり

・強酸によるエーテル結合の開裂
・過酸化物の生成

では順番にいってみよー。

強酸によるエーテル結合の開裂

簡単に言ってしまうと 応用編:エーテルの合成① で紹介した
アルコールと無機酸による合成
のことだ。
あの反応がどういったものか覚えているかな?

そう、可逆反応だったよね?
ようはあの反応の裏ではエーテル結合の開裂も起こってますよということなんだ。

さてこれだけだと寂しいのでもう少し掘り下げて…

まず以下の例を見比べてほしい。

無機酸が塩酸の場合は、アルコールハロアルカ
無機酸が硫酸の場合は、アルコールアルケン
が出来ているよね?

さて同じ強酸によるエーテル結合の開裂違いが起こるのはなぜか?
勿論原因は無機酸にある。
では詳しくみてみよう。

まず硫酸は以下のようになっている。

で、Hがとれた時にどうなるかというと
以下のように自由に共鳴ができる。

だから結果として安定した状態となっているため
求核剤としては成立し難くなるんだ。

勘がいい人は少しひっかかるかもしれない。
以下のよう複数のアルコールやアルケンができるんじゃないか?ってね。

ただ実際は大半が以下のような反応となり、
アルコールとアルケンはそれぞれほぼ1種類ずつの生成になる。

これを見てなぜ???
1反応で出てきたカルボカチオンの安定性を思い出してほしい。

カルボカチオンは3級>2級>1級の順で安定だったよね?
だから上の反応では3級カルボカチオンの方が1級カルボカチオンよりも安定なので、
大半は1級アルコールができる反応が進行するんだ。

さて一応突っ込まれる気もするので補足しておくと

無機酸が塩酸の場合どうなるか?というと
求核剤であるハロゲンイオンがいるので起こる反応としては
1反応ではなく2反応になる。

基質の構造を基準として比較した場合
1反応とS2反応では結果が逆になるってことは覚えているかな?

結論として3級アルカンができる方に反応が進むっていうわけだね。

過酸化物の生成

多分紹介したことはなかったと思うのでまずどんなものかをご紹介

まず上図のように構造としては
・ペルオキシド構造
もしくは
・過カルボン酸構造
を持つものだ。

で、今回の反応では中間体でぺルオキシドの派生形の
ヒドロぺルオキシドが出てくるのでついでにご紹介。

話を少し単純にすると
ペルオキシド構造か過カルボン酸構造に共通してるのは

の部分なのでこれがあれば過酸化物と言ってしまって間違いない。

過酸化物だとピンとこないかもしれないけど
有名なものとして中学の理科で登場した
過酸化水素
がある。
実験に使う薬品くらいの感覚でいる人が多いかもしれないが
こいつは酸化剤にも還元剤にもなる便利なもので
日常生活の中でも
・殺菌剤(オキシドールとか)
・漂白剤(髪の脱色とか)
なんかに使われている。
「殺菌」「漂白」のキーワードを見ると若干不穏な感じがするかもしれないけど
実は体内で細菌を殺したりもしている。
細菌を処した後はカタラーゼっていう酵素がいい感じに働きかけることにより
無害な水に分解される。
まあ、だからと言ってダイレクトに皮膚につけちゃうと「そこそこの痛み」+「不自然な白色」になるけど。。。

過酸化水素で盛り上がりすぎた(汗)
話を戻すと、こいつを作るのにエーテルは超使えるっていうことだよ。

以下のようにエーテルと酸素のジラジカル(三重項酸素)を反応させることで過酸化物を得られる。


※酸素のジラジカル(三重項酸素)については長くなるのでここでは割愛します。

あと過酸化物についてはさっき紹介した過酸化水素が有名だけど
実際のところ第1、2族の金属元素と酸素ガスを反応させればだいたい過酸化物になる
(例)Na

なのでエーテルと酸素のジラジカル(三重項酸素)を覚えておけば
大体の過酸化物の生成には対応できるはずだよ!

エーテルは以上かな。
ではまた次回。

 

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