エーテルの特徴②

2020年6月1日

さて前回に引き続き「特徴」です。
今回のテーマは

物理的性質

細かく分けると
・エーテルだけでは水素結合しない
・アルコールより沸点低い
・水と混ざりにくい
・溶媒和
がある
それでは一つずついってみよー。

エーテルだけでは水素結合しない

水素結合についての詳しくは
基礎編:原子、分子の間に働く力
を読んでください。

そもそも水素結合っていうのは
「電気陰性度が高い2個の原子(F,O,Nとか)が水素原子を間に挟んで結びついてる結合」
のことだ。

で、水素結合の理屈を考えた時、
エーテルのOは両方ともCと結合をしている
つまりはOに対してHが直接くっつける余地がない
どういうことかっていうと
エーテル単体では水素結合が出来ない、ということだ。

これだけだと
・・・そうでしょうね、で?

って思う人が多いことだろう。(汗)
だけど今回のメイン(一番重要)はこの特徴になる。
この特徴が後々の特徴に関与してくるよってことで最初に紹介しました。
この特徴を意識して以降を読んでもらえたらなって思います。
それでは続きをば。

アルコールより沸点低い

基礎編:原子、分子の間に働く力
応用編:アルコールの特徴①
で紹介済みの内容になるけど
エーテルとアルコールを比較した時の象徴的な特徴だ。

理由としては①の通りエーテル単体では水素結合が出来ない
ようするに結合の切断にかかるエネルギーアルコールに比べて少なくてすむ
結果として沸点がアルコールに比べて低くなるっていう説明が出来るってことだね。

水と混ざりにくい

そもそも身近にありすぎて意識していないかもしれないけど
水(まぁ色々種類はありますが)っていうのは最も単純な水素結合の例の一つだ。
液体の水は水分子(水素原子2、酸素原子1)がたくさん集まることで出来ているのだけれど
水分子には2つの非共有電子対(酸素原子のやつね)があって
それぞれの非共有電子対が別の水分子の水素原子と1つの水素結合を作るっていう状態になっている。
この繋がりがあるので水は水素結合を持たない他の化合物に比べてとても沸点が高い(当然融点も)。

前置きが長くなってしまったけれど
そんな訳だから
水素結合が出来ない野郎なんて最初からお呼びじゃございません!
っていうことだね。
例えばHUNTER×HUNTERグリードアイランドに参加する為には念が使えることが条件だったように
ようは最低要件を満たせていないやつなので門前払いをくらっている状態になっているんだ。
感情が入らない分よりシビアってことだよ(笑)。

溶媒和

※「溶媒和」の細かい話は 基礎編:溶解性 をご参照ください。

さて、今まで水とかで溶媒和をしていた(例えばNaClが水に簡単に溶ける的なやつね)のだけれど
エーテルがクラウンエーテルの時、中心金属イオンが溶媒和される。

とりあえず以下の構造を見てもらうとなんとなく分かるんじゃないかとは思う。

中心部分にスペースがあるよね?
ここに正の電荷を持つ金属イオン(金属カチオン)が入り込むと
Oのもつ非共有電子対によって金属イオンが強く捕まえられる、つまりは安定化するんだ。

例えば、18-クラウン-6は下のようにKを溶媒和される。

もう一ついえばそれぞれの大きさのクラウンエーテルによって穴の大きさも違うので
溶媒和できる金属カチオンも異なってくる
これによって何が起こるのかというと、有機溶媒(無極性溶媒)に金属カチオン(極性物質)が溶けるようになるんだ。

ちょっとややこしいかもしれないが基本に戻って考えてみよう。
まず極性物質は無極性溶媒に溶けにくい
で、クラウンエーテルはというと極性溶媒より無極性溶媒に溶けやすい

???極性のあるOがあるじゃん???

と思うかもしれない。
考え方は正しくて確かに電気陰性度が高いOがあればCとの間では双極子モーメントは発生する
ただこれはお互いが対な配置になっている場合の話になるんだ。

改めてクラウンエーテルの配置を見てみよう。

まぁなんというか「均等」に配置されているのが分かるかな?
図の矢印の色が同じところお互いに相殺状態(極性がない状態)になっているんだ。

この発見にによりKF、KCNのような無極性溶媒に溶けにくいものを有機溶媒中で使えるようになった
有機合成に新たな道が開けたってわけなんだ。

エーテルの特徴はこんなところかな。

ではまた次回。

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