命名法

2022年5月14日

さて前回の分類に続いて今度は本命の命名法を解説するよ。

とりあえず座学的な部分で紹介しておくと一般的に命名法のことを
IUPAC命名法(International Union of Pure and Applied Chemistry)
っていう。
一応慣用名(詳細は最後に)として体系的命名法っていう呼び方もあるけど、基本はIUPAC命名法で通ってます。

では解説していくね。
まず化合物の名称は以下のような構造で成り立っている。

接頭辞と接尾辞がちょっと分かり難いかもだけど、詳しい話は後述します。続いて名前を付けるルールを順番に説明していくね。

分子中で1番長い炭素鎖を探す(基本構造の命名)

注意点として同じ長さの炭素鎖があるも当然ある。その場合は、枝分かれが多くなるものを選ぶようにするんだ。

でそれぞれの炭素鎖の数(ここでは単結合のみ(alkane[アルカン])の場合)によって以下のような名前がつく。
C:methane(メタン)
C2ethane(エタン)
C3propane(プロパン)
C4butane(ブタン)
C5pentane(ペンタン)
C6hexane(ヘキサン)
C7heptane(ヘプタン)
C8octane(オクタン)
C9nonane(ノナン)
C10decane(デカン)

ここであえて英語表記を記載しているのは、その方があとで楽できる、からだ。黒文字の部分を変えるだけでアルケン(alkene)、アルキン(alkyne)にも対応できるようになっているからね。

例えば
C=C:ethene(エテン)
C≡C:ethyne(エチン)

みたいな感じになります。

官能基に順番をつける

官能基には順位(下図の上から優先)が決まっていて、これを使う。

そしてルールとしては
・1番優先順位の高い官能基が接尾辞
・それ以外の官能基は接頭辞
になる。

大原則はこの2つになるよ。
その他で重要なものは例を見ながら解説するね。

(例1)

まず炭素は見たまんま単結合のみが5つ繋がっているpentane"だ。
で、ここから接頭辞接尾辞を考える。
一番優先順位が高い官能基はOHだね。
この官能基の位置は左から数えると4番目右から数えると2番目なわけだけど、この場合は左右から数えてより若い番号を優先する
これにより接尾辞は “2“と"-ol" で “2-ol" となる。
そして最後に接頭辞は残ったNH2接尾辞と同じ方向から数えると3番目になるから
3“と"amino" で “3-amino" となる。
で結果として
“3-amino"(接頭辞) + “pentane"(主鎖) + “2-ol"(接尾辞)
3-aminopentane-2-ol
になるってわけ。

(例2)

ここで解説忘れがあったので追加。
この例では官能基の変わりにCH3(methyl基)がついてるよね。
有機化合物の分類 でも紹介したけど
炭素骨格は、CとHだけで構成されたもの
官能基は、OやNなどC以外のものも含まれるもの
だ。
だからこのCH3置換基になる。
この辺は少し曖昧な感じになってしまうけど一先ず
主鎖についているH以外のもので官能基でないもの
置換基っていうんだ、っていう認識でOK。

この置換基が複数ある場合は、その数だけ頭にdi(2個)、tri(3個)、tetra(4個)がつく。
炭素は例1と同じく"pentane“だね。
そして置換基であるCH3(methyl基)が2つ(di-)あるから

“di" + “methyl"(接頭辞) + “pentane"(主鎖) + (接尾辞なし)
これに例1の官能基と同様に置換基を若い番号からとって
2,3-dimethylpentane
になるってわけ

人によっては長い英単語を見るだけで毛嫌いするかもだけど、原理原則を抑えていけばそこまでややこしいものではないよ。
一度覚えてしまえば楽になると思うから腰を据えてじっくり理解していってね。

あとむしろよく使うって意味で「慣用名」の解説をしておこう。
簡単に説明すると学術的な正式な名前(IUPAC命名法はこっちね)とは別で
広く浸透している名称のことをいいます。

例えば
「猫」というのは「和名」っていう日本語での猫ちゃんの呼び方
「CAT」というのは「英名」っていう英語での猫ちゃんの呼び方

で猫ちゃんの正式名称は?というと
「Felis silvestris catus」(フェリス・シルヴェストリス・カトゥス)
っていう名前がついている。

この正式名称が「学名」っていって全世界の学者さんの中で共通認識として
使われる名前になる。
IUPAC命名法もいってみれば学名みたいなものだね。
どちらもある法則にのっとって付けられる名前だ。

ただ分類しながら単語を組み合わせて名前を付けるので
上述の猫ちゃんのように長くなりやすいし、正直なところ専門家以外の人はピンとこない。

なので専門外の人でもわかり易いように、昔から使っている通称
それが慣用名っていうことになります。

歴史も当然慣用名の方が長いので
一般に商品として扱われる時は慣用名が使われることも多いです。

今後もちょいちょい出てくるので、法則性がないので覚えるしかないんだけど、そこら辺は頑張ってください。。。

ではまた次回。

© 2017 猫でもわかる有機化学

Posted by nikukyu-