Diels-Alder反応に影響を与える因子

さて今回はタイトルの通りDiels-Alder反応に影響を与える因子について説明するよ。

ポイントは以下の2つ
1.置換基効果
2.立体的要請

それでは順番にいってみよー。

1.置換基効果

まずここでいう"置換基"というのは
以下のように
・ジエン体(オレンジの場所)
・求ジエン体(青色の場所)
にそれぞれ結合している置換基のことだ。

結論を言ってしまうと
ジエン体は電子が多いほど
求ジエン体は電子が少ないほど
反応は早くなる。

電子が多いとはCHのような電子供与基が結合している状態
電子が少ないとはCOHのような電子求引基が結合している状態
のことだよ。

ちなみに当然 R効果 > I効果
も関係するので強弱をまとめると以下のようになる。

<電子が多くなる置換基>
OCH > CH > H(置換基なし)

<電子が少なくなる置換基>
CN > CF > H(置換基なし)

なんでこうなるの?と思うかもしれないが、反応するときの分子軌道の図を思い出そう。

ジエン体のHOMOと求ジエン体のLUMOが相互作用するから反応できてたよね。
※HOMO や LUMO は 応用編:Diels-Alder反応① を参照

で、ジエン体に電子供与基、求ジエン体に電子求引基の置換基をそれぞれくっつけてみると…

上の図から分かる通り、
ジエン体は電子供与気により電子が多くなるとエネルギーが大きくなる。
結果HOMOの位置が高くなる(軌道の順位が上がる、ともいいます。)

求ジエン体は電子求引基により電子が少なくなるとエネルギーが下がり。
結果LUMOの位置が下がる(軌道の順位が下がる、ともいいます。)

ということでお互いが同じくらいのエネルギーになるから
より相互作用しやすくなり、結果反応が早くなる、というわけなんだ。

2.立体的要請

これについては 応用編:ジエンの特徴② で紹介したs-cis型s-trans型の話を思い出してほしい。
とりあえず以下を例で考えてみよう。

まぁなんとなく見た目的にs-cisじゃないと反応しなさそうだよね。

でも実際のところ安定なのはs-trans型立体配座だった。

このことからどういうことが推察されるかというと
Diels-Alder反応を早くするためには
どれだけs-cis型を安定にするか?(もっというと不安定にしないか)という方向で考える必要があるんだ。

ただ気を付けてほしいのは
s-cis型が不安定の要因となっている部分(下の図の囲ってる部分)に
置換基をつけるのはNG。

水素だけでも邪魔なのに余計なものを増やすと
さらにs-transの状態が多くなり、結果としてDiels-Alder反応は遅くなってしまう。
だからこの部分には置換基はつけちゃいけないのでご注意を。

こんなところで

ではまた次回。

© 2020 猫でもわかる有機化学