原子、分子の間に働く力

2020年6月6日

実は構造式上ではわからないけど、電気陰性度の違いなどから原子や分子の間にはお互いに引っ張り合ったり、押し合ったりの力が発生することがある。
今回はこの力が化合物の性質に影響を与えてるってことを紹介していくよ。

極性共有結合

そもそも極性とは何だろうか?。
これは原子や分子の間に電気的な偏りがある状態であるという意味だ。
例えば水(H2O)は酸素(O)が水素(H)の電子を引き付けようとしているから、酸素側にの電気的偏り水素にの電気的偏りが発生している状態になっている。
もっといえば酸素側に電子が引っ張られている状態になっている。
こういった状態を分極っていうよ。

で言葉の通りなんだけど
ようは電気陰性度が大きい原子(F,O,N,Clとか)が他の原子(C,Hとか)に結合していることだよ。
で重要悪なのはこの時に(a)~(c)のような力が働いているってことだよ。

結合双極子モーメント

原子と原子の間にある電気陰性度の差(別名「分極の度合い」)のこと。
まず下図を見てね。

Clの電気陰性度が大きいので、C-Cl間に3.0Dの結合双極子モーメントが働いている状態ってこと。
D(デバイ)っていうのは結合双極子モーメントの単位のことね。
次で紹介するけどC-H間でも当然結合双極子モーメントは働いているので、注意してね。

分子双極子モーメント

今度は1つの原子間だけじゃなく、全ての原子間の結合双極子モーメントをあわせたもの。
これもまず下図を見てね。

(a)で見たことを分子全体で見るっていえば分かりやすいかな。
当然(a)が分かっていることが前提となる話になるよ。
わからなければ(a)に戻ってね。

双極子-双極子力

さっき説明した分子双極子モーメント同士に働く力だよ。
分子双極子モーメントの矢印の先が-で後ろが+と考えたら分かりやすいかも。

水素結合

電気陰性度が高い2個の原子(F,O,Nとか)が水素原子を間に挟んで結びついてる結合。
双極子-双極子の特別強い場合って感じかな。
で下図の赤い部分がそれ。

左側のH…O間がポイントで、これは直接繋がっている状態ではないけど、電気的に結びついていることを表している。
上図でいうなら左は分子同士が繋がっている状態、右は分子同士が繋がっていない、みたいな感じだね。
ようは左側は分子同士がどんどん繋がることで大きな分子を作っている状態になるんだよね。
これで何が変わるかっていうと、沸点が変わるんだ。
例えばエタノール(CH3CH2OH)とジメチルエーテル(CH3OCH3)では分子量は同じだけど、沸点は
エタノール(水素結合)    : 78℃
ジメチルエーテル(水素結合) : -25℃
と大幅に変わってくる。
※理由は次で説明するよ。

ファンデルワールス力

1、2は電気的な偏りがある場合の話だったけど今度は電気的な偏りがない場合(例えばC-Hだけで作られたとか)についての話だよ。
勘がいい人は「偏りがないのに何が起こるの?」って思ったかもしれない。
実は全く偏りがないなんてことはなくて、原子軌道でも触れたけど電子は常にランダムに動き回るもんだから偶然偏りが発生するってことがありえるんだ。
で、この偏りが出来た一瞬に分極状態が生まれているというわけ。
だから瞬間的でも電気的偏りが発生することはあって、この時生まれた偏りによる力がファンデルワールス力(分子間力)というものなんだ。

でこのファンデルワールス力ってやつは分子量が大きい程大きいまた接触する分子の表面積が大きい程大きい
1個ずつ解説していこうと思う。

まず分子量の大きさについて
理由としては単純に分子が大きいと、その分電荷の偏りが大きくなるからだ。
自動車事故の時、軽トラックと大型トラックが同じ速度で突っ込んだらどっちが悲惨な状況を生むのか想像してみると分かりやすいかな?

ようは大きいものが動くとそれだけ大きい力が発生するんだっていうことだね。

さっき沸点の話にも関係するけど、ようはより大きな力を引き離すにはそれだけ大きな力が必要になる。
だから偏りが特に強い水素結合とそうでないものでは沸点に大きな違いが出ていたんだ。

もう一つの接触する分子の表面積の大きさについて
難しい言い方をしちゃったけど、ようは距離が近いとその分反発する力が強くなるよって話。
もっというと接触した状態からさらに近づくと、その分反発する力が強くなっていく。
もちろん距離が遠い(接触している表面積が小さい)と弱くなる
窓ガラス(接触面)にゴムボール(分子)を押し付けてるところをイメージしてもらうとわかりやすいと思う。
押し付ける力が強い程接触している部分(面積)がどんどん広がるし、それに伴って反発する力も強くなるよね。
これをもっと突き詰めると、分子の形状が細長い物の方が大きくなるっていうことがいえる。

例えば以下について

上記を簡略化したのが以下だ。


枝分かれより、直線の方が接する面積が多いのは一目瞭然ではないかと思います。

ではまた次回。

© 2017 猫でもわかる有機化学