カルボン酸の合成②
それでは続きからー
2.カルボキシ基の導入方法
さてここからが本番。
カルボキシ基を導入する方法について説明していくよ。
方法は全部で3種類。
では行ってみようー。
(1)酸化
細かい話は 応用編:アルコールの反応① を
以下のようにアルコールから酸化させればアルデヒドを経由してカルボン酸になります。
アルコールの反応①ではCrO3を酸化剤として使っていたけど、他にも
KMnO4(過マンガン酸カリウム)
HNO3(硝酸)
なんかもよく使われます。
そして500mlの値段で比較した時に
HNO3 約1300円
KMnO4 約4000円
CrO3 約2000円
ということでコスパの良い硝酸がよく使われます。
まぁ知ってると思うけど
全部危険物なので扱う際にはご注意を…
(2)有機金属反応剤
細かい話は 応用編:アルコールの合成③ を
実はこれ、CO2も攻撃するんだ。
※炭酸化反応(carbonation)と呼ばれています。
これによりカルボン酸塩ができ、これを酸によってプロトン化することでカルボン酸が合成できる。
簡単にまとめるとこの方法だとCが1つ増えたカルボン酸を合成できる。
さてここで気付いた人もいるかもだけど
この方法は結構色々なことに利用できるんだ。
例えば有機金属反応剤はハロアルカンがあれば作れるっていうのを覚えているかな?
つまり以下のようにRXがあればCOOHを導入することが出来るんだ。
さて注意点として上で紹介したような便利な点もあるんだけど
何にでも使えるわけではない。
実は有機金属反応剤が反応できる箇所が複数あった場合
・複数の生成物が出来きる
・カルボン酸が出来ない
といったことが発生するんだ。
例えば以下の場合、OHのHはH+として放出できるので
CO2反応させる前に有機金属反応剤中のC-がH+を奪ってしまう為
カルボン酸が出来なくなってしまうんだ。
似たような場合として
C=OやNO2なんかがある場合も有機金属反応剤と反応しますのでご注意を。
で、この問題を解決するのが次の(3)になるんだ。
(3)ニトリルの加水分解
これはハロアルカンをCが1つ増えたカルボン酸に合成するもう1つの方法で
以下のようにニトリルを使う。
ニトリルはハロアルカンとシアン化物イオン(CN-)のSN2反応により合成され
その後は加熱した酸または塩基中でニトリルを加水分解することで
カルボン酸が合成されるってわけだね
さて、酸または塩基とは書いたんだけど
それぞれの触媒で反応機構が異なるので詳細を見ていこう。
まず酸性触媒の場合
酸性触媒の場合は
-がつかない
と覚えておけば覚えやすいんじゃないかと思います。
そしてお次は塩基性触媒の場合
塩基性触媒の場合は
+が出てこない
と覚えておけば覚えやすいんじゃないかと思います。
で、見ての通りなんだけど
塩基性触媒の場合はカルボン酸が完成しない。
だから最後に酸性条件でH+をあげることでカルボン酸を完成させるんだ。
なのでこの方法で(2)で上げてる問題点を解消できるってわけ。
具体的にはこんな感じです。
ではまた次回。
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