アルコールの合成③
さて今回でアルコールの合成のラスト!
それではいってみよ~。
有機金属反応剤
いきなり聞きなれない言葉が出てきたね。
簡単にいうとこれは炭素原子と金属原子が共有結合したものだ。
組み合わせを考えるととんでもない数になりそうだけど・・・安心してほしい。
ここでは
①C-Li
②C-Mg
の2つしか使わないので。
では具体的な解説を。
「C-」なんて書き方をしたけどきちんと表現するなら以下のような状態で使われる。
①アルキルリチウム
さて例えば②なんかで考えると
生成するCとMgの結合ではCが陰性、Mgが陽性に強く分極している。
だからこいつの有機基(Rの部分ね)は強い求核性をもつんだ。(求核試薬っていうよ)
例えばハロアルカンにLi、Mgをそれぞれ反応させてみると以下のようになる。
注意点としてこの反応はエーテル中で行わないといけない。
なぜならCH3-がすごく強い塩基になるので水があるところではすぐアルコールと反応してH+を奪ってしまうからだ。
参考までに紹介するとこんな感じ。
もうちょっと強めにいうとこいつらを合成する際は原料や器具をしっかり乾燥させとかないといけないよ!ってこと。
で、ここからが本番。
アルコールを作るためにはこいつとカルボニルを反応させるんだ。
アルコールの合成①でH-を使ったを覚えているかな?
簡単にいえばそれがCH3-に変わったと思ってくれればいい。
まぁこんな感じになる。
で↑の反応機構が↓だ
※H3O+って書いてるけど、ようは酸のことだよ。
まぁ要するにH+くれる奴ならOKということだね。
さて実はこのカルボニルを反応させることで色々なものが生成できるようになる。
例をあげると
・アルキル基を一つ伸ばしたアルコールを生成することが出来る。
・アルデヒド加えることで2級アルコールを生成することが出来る。
・ケトン加えることで3級アルコールを生成することが出来る。
などなどといったことが出来る。
実際はもっと色々あるのだけれど、本当にキリがなくなってしまうので
後は調べるなり考えるなりしてもらったらなって思います。
最初に紹介したグリニャール試薬(発見した人がグリニャールさんだからグリニャール試薬)
は昨今の有機合成にとっては欠かせないもので、本当に色んな用途に使われる
いってしまえば有機合成界のマルチタレントさんなんだよね。
※グリニャールさんはこの発見でノーベル化学賞もとってます。
だからこそ先人の発見を
しっかりと理解してもらいたいなっても思います。
ではまた次回
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