求核と脱離の起こりやすさ
さて、前回の最後で少しだけ紹介した
求核置換反応(SN1,SN2) と
脱離反応(E1,E2) 割合について
そして反応が起こりやすくなる条件について解説するよ。
今までの流れで分かってもらえると思うけど
組み合わせとしてはSN1とE1、SN2とE2になる。
そしてSN1とE1に関していうと起こりやすさはあまり変化しない。
まずそもそもの話として
SN1とE1においてこの反応が起こる条件はとてもシビアになる。
条件は以下の通り
・求核剤はH2OやI-などの弱いもの
・ハロアルカンは2級以上
※しかもI-と2級ハロアルカンだとSN2反応になってしまう。
そしてE1反応で紹介したとおりで、
SN1,E1ではそもそもカルボカチオンができる律速段階が同じになる。
ここまでくると後は残りカスのような状態なので
全体で見た時に影響してくるものなんてほとんど残っていない。
加えて詳細は後述する反応割合っていう考え方があるのだけれど
これも考えの大本になるのは求核剤なのです。
前述しているけど、求核剤も限定的なものしか使えない。
よって変更できる余地がない。
長々話したけど、SN1とE1に関しては以上の理由からほぼ無視していい。
※好きで探求するのはもちろんいいけど
つまるところ・・・今回のメインはSN2とE2になりまする。
さてまず反応の起こりやすさに与える要因を考えていこう
要因としては以下の2つがある。
1.求核剤の強弱
2.基質のかさ高さ
だ。それでは一つずつ見ていこう。
1.求核剤の強弱
より正確にいうなら求核剤の塩基性の強弱になる。
まずは以下を見ていただきたい。
※注意:割合の%表記はあくまで目安なので参考程度に考えてね。
上の塩基性が弱いI-より、
下の塩基性が強いCH3O-の方が、E2反応の割合は大きくなってるよね。
塩基性が強いってことはどういうことだったか覚えているかな?
そのままでは不安定だからH+をもらって早く安定な状態になりたがっている状態なんだ。
※もしピンとこなかったら 基礎編:塩基性の強弱 へ
だから塩基性の強弱によって反応の割合が変わってくるってことなんだ。
2.基質のかさ高さ
さてこれも例を見た方が早い、ということでまずは以下を見てほしい。
・1級ハロアルカン
・2級ハロアルカン
・3級ハロアルカン
1級⇒2級⇒3級 の順で
E2反応の割合が増え
SN2反応の割合が減っているね。
さてこれについては 基礎編:SN2反応の反応速度に影響を及ぼす因子① を思い出してほしい。
求核剤がかさ高いときほどどうなっていたか?
...そう、SN2反応は起こりにくくなったよね。
なのでE2反応の割合が増えたということだ。
最後に1、2の条件をまとめると以下のようになるよ。
いってしまえばどちらも
今まで学習した範囲で推測が可能なものなんだけど
教科書なんかでは表みたいにまとめて紹介されちゃうことが多いので、ちょっと掘り下げて紹介してみました。
さて、基礎編これにて一旦最終回。
次はいよいよ応用編に入っていきます。
引き続きよろしくお願いいたします。
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