フェノールの反応①
さて今回からはフェノールの反応について
1.フェノールの塩基性
2.フェノールのアルコールとしての反応
3.求電子置換反応
4.フェノキシドイオンの反応
5.フェノールの酸化
6.自然界の酸化還元過程
1.フェノールの塩基性
ん、反応なのに、しかも塩基性?と思った人は落ち着いてほしい。
これは後々の反応につながるいわば前座のようなものだ。
むしろここを分かっていないと後でつまずいてしまうので
まずこの前提をしっかりと理解してください。
フェノールの特徴②で
フェノールは酸性であることを説明したよね?
でも実は弱い塩基性でもあるんだ。
フェノールは以下のように強い酸によってプロトン化でき
対応するフェニルオキソニウムイオン(phenyloxonium ion)ができる。
※これはフェノールのOHのHが別のものに置き換わり
□エーテルとなっても持っている特徴になります。
ちなみに普通のアルコールとpKaを比べると
フェノール<アルコール
となるため、酸性の強さは
フェノール>アルコール
となります。
分かっている人には説明はいらないと思うけど
この理由は、Hを放出した後にOの孤立電子対が
共鳴によりベンゼン環に非局在化しているからなんだ。
ということで塩基性の強さは酸性とは逆になるつまり
フェノール<アルコール
になるってわけだね。
そしてこの塩基性を利用することで例えば以下のように
アルコキシベンゼンの開裂
を行い、置換反応が起こせたりします。
2.フェノールのアルコールとしての反応
フェノールのOHは
・プロトン化
・Williamsonエーテル合成
・エステル化
のようなアルコールとしての反応も起こる。
ここら辺はフェノール(C6H5-OH)のC6H5=Rとした後
アルコールの反応等を参考として見ると分かりやすと思うので今までの
復習もかねて色々と見てみてくんなまし。
というわけで全部やるときりがなくなるので
今回はこの中からよく使う2つを紹介しておきます。
※既に登場済みなので詳細は各ページを見直してください。
(1)Williamsonエーテル合成
フェノールからエーテルを作る反応です。
反応機構やらその他詳しい説明はエーテルの合成②をご参照。
(2)エステル合成
フェノールからエステルを作る方法です。
こちらも詳細はアルコールの反応③をご参照。
こいつについては特に有名どころとして以下なんかがあります。
ついでにどうぞ。
見覚えがある名前があるんじゃないかな?
そうサリチル酸もアスピリンもお薬です。
例えば
サリチル酸は「イボコロリ」に入ってるやつで
その名の通りイボや魚の目等皮膚関連のお薬。
一方のアスピリンは言わずもがな、「解熱鎮痛剤」だよね。
少し構造が変わっただけで使用法も大きく変わってくるのです。
まぁここら辺が面白いところかと思います。
※細かく言えばサリチル酸にも同じ作用があると
□言えばあるんだけど同じように飲むと胃に穴があく(-_-;)
□ので今ではその使い方をしている人は少ないと思われます。
ではまた次回。
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