フェノールの特徴①
さて今回からはフェノール(phenol)について。
既に先行してちょろっと登場しているんだけど
以下のようにベンゼンのHの1つがOH基に置きかわったものだよ。
ちなみに「フェノール」っていうのは慣用名だ。
IUPACでは、benzenol(ベンゼノール)って名前がついているんだけど何故かあんまり使われません。
ベンゼンには慣用名は結構色々あるんだけど(興味があれば調べてみてね)
その中の一つ、昔使われていたpheneってのがあってフェノールの名前の由来はここから来ているそうです。
あと日本では石炭酸なんて名前で呼ばれたりする。
名前からはそんなに危険な感じはしないかもだけど
実は 毒物及び劇物取締法 で劇物に指定されている中々に危険な物質だ。
一例をあげると
皮膚に接触
→重篤な皮膚の薬傷(火傷みたいなもの)になる可能性がある
眼に接触
→損傷を引き起こす可能性がある
長期間または繰り返し曝露
→腎臓、肝臓、皮膚および神経系の障害につながる可能性がある
といったレベルで結構ヤバい。
某製薬会社(たくさんあります)で 液状フェノール
なんてダイレクトな商品名のやつもあるけど
ああいうのは消毒目的にある程度薄められたものなので…
フェノール自体を使う時はご注意を。
さて前置きが長くなったけど例によって特徴から、ポイントは以下の3つ
1.命名法
2.ケト型とエノール型
3.酸性度
それではいってみよー。
1.命名法
さて最初はやっぱりいつもの如く命名法なんだけど
実のところ アルコールの命名法 と似ております。
参考:アルコールの特徴①
アルコールでは、
-eを-olに変えた
よね?
これがフェノールでは
OHがつくCの位置番号を-olの直前につける
ちなみに、OHが複数ある時、例えば
OH2個の場合 は -diol
OH3個の場合 は -triol
と名付けます。
また最初にIUPACであるベンゼノールがあんまり使われないっていう話をしたけど
実はフェノールがIUPAC名で認められた慣用名なんだよね。
そしてさっき説明したOHを複数使うパターン以外はほとんど
フェノールの名前を使ったものが正式名称のようになっている。
という現実もあるので、まぁ最初の方は
フェノールを使った命名法で理解しておけばOKです。
といったところで以下を見てみよう。
フェノールのOHがついているCを1番として数え
他の置換基の番号ができるだけ小さくなるように番号付けをする。
基本はもうこれくらいでOKです。
最後にオマケ。
オマケなのでさっくりと行きますが
何かというと フェノールの塩 について
結論からいうと
芳香環の共鳴効果によって共役塩基のフェノキシドイオン(C6H5O-)が出来る
つまりはカチオン種と共に塩を形成するってことになる。
で、フェノールの塩は
カチオン種名 + phenoxide(フェノキシド)
で名前付けされます。
例えば以下は
Sodium phenoxide(ナトリウムフェノキシド)
ってなる感じだね。
文字数も稼げたところで(-_-;)
ではまた次回。
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