ハロアルカン
さて少し前から言葉だけ出ているSN1、SN2反応
こいつ説明に入る前にもう一つ抑えておきたいものがある。
それが今回の ハロゲン化アルキル
略して「ハロアルカン(haloalkane)」だ。
ざっくりいってしまえばアルカンが持つ水素が1個ハロゲンに置き換わった化合物の総称みたいないものだね。
実はこいつ、SN1・SN2反応を観察するには必要不可欠なものなんだよね。
なので本腰をいれてSN1・SN2反応の解説に入る前に特徴とかをさらっと紹介しておくよ。
命名法
大まかな説明は 基礎編:命名法 の通り。
ポイントとして"ハロゲン"は“接頭辞"の部分にあたるから
下図のようにアルカンの前にハロゲンの名前を付けておけばOK。
物理的性質
さてここからが本番。
なぜならここが先ほど話した"必要不可欠な概念"だからです。
結合の強さ
結合の強さはハロゲンが大きい程弱くなる。
これは言い換えるなら、ハロゲンの原子番号が大きくなる程弱くなるってことだ。
どういう状況かというと、下図のような状況だね。
まず
・ハロゲンのp軌道
・Cのsp3混成軌道
の2つの間で結合が起こる。
基礎編:ラジカル でも紹介しているのだけれどこの2つの“軌道の重なりが大きいほう"が結合は"強固"だ。
だから結合の強さは
C-F > C-Cl > C-Br > C-I
になるってこと。
結合の分極
言うまでもないかもしれないが、ハロゲンの電気陰性度は高い。
※理由がわからなかったら 基礎編:原子、分子の間に働く力 へ
まぁそのまんまの意味で、ハロアルカンっていうのは下図のように分極してますよってことです。
沸点
これも基礎編:原子、分子の間に働く力 の復習になるけど
沸点は分子間の相互作用が大きいほど引き離すのに大きな力が必要になる。
ハロゲンを"含んでいる"場合
双極子-双極子力
っていうファンデルワールス力より“圧倒的に大きい力"で分子同士が結合する。
だから引き離すのはとても大変になるんだね。
だから・・・当然ハロゲンをつけているものはつけていないものより沸点が高くなるよ。
ちなみにハロゲンについては、双極子-双極子力に加えてファンデルワールス力も大きく関係してくる。
ファンデルワールス力は分子量が大きいほど大きいだったよね?
だから沸点の大きさは
C-I > C-Br > C-Cl > C-F
になるよ。
今回は色々と復習できたね。
もし忘れてたなら、ただ覚えるだけじゃなく“理解する"ってことを意識して見直すことをオススメするよ。
ではまた次回。
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