酸・塩基の平衡
さて前回は酸・塩基の定義ということで以下を紹介したね。
アレニウスの定義
ルイスの定義
ブレンステッド-ローリーの定義(※以下ブレンステッドの定義)
でブレンステッドの定義が超重要ということを説明しました。
さてここで おや? と思ったことはなかったかな。
アレニウス、ルイスの反応式と微妙に違う点があるんだ。
どこかわかるかな?
・・・
そう、矢印が両側を向いているんだ。
これが何を意味するかというと反応が終わったとき、
全部右側の状態になるわけではなく、左側の物質も残っている
ということなんだ。
今回はこの右左の関係についてどちらがどれだけ多いかという事について説明していくよ。
さて先に紹介しちゃっているブレンステッドの定義の反応式を改めてみてみよう。
そもそも平衡っていうのはとは反応式の右側の量と左側の量を比べることなんだ。なので数値的に見たい場合、以下のように表現される。
※ここで[ ]はそれぞれ濃度を指してるよ。
Kっていうのは見たままなんだけど、「右側の量/左側の量」ね。
この式から以下の推測ができる。
K>1 なら右側の量が多い(反応の平衡が右に傾いてる)
K=1 なら右と左の量は同じ(反応は平衡)
K<1 なら左側の量が多い(反応の平衡は左に傾いている)
ここでさっきのブレンステッドの定義を思い出してほしい。
酸はH+を出すもの、塩基はH+を受け取るもの
だったよね。
ということは
酸(濃度的に酸が強い状態)は
・K>1
・HAがH+をたくさん出す(右側の濃度が濃い)状態
塩基(濃度的に塩基が強い状態)は
・K<1
・HAがH+をあまり出さない(左側の濃度が濃い)状態
と考えることができる。
ちなみに水の濃度はほぼ一定で変化がないから
と表せる。
さてついで紹介しておくとKaは酸解離定数ていうもの。
これはpHと関係してくるんだ。
ちょっと数学チックになるけど、まず以下のように書き換えてみます。
なんでこんな風に書き換えるのか、というとKaのままだとpHとの関係が逆になってしまうからなんだ。
というのも酸性って強い程pHは小さくなるよね。
けど先に説明したように酸性が強いってことはKa(K)が1より大きいってことになって大小関係がちぐはぐになっちゃう。
だからややこしくならないように対数で表現することでpHとの関係を同じにしてるんだ。
つまり酸性が強くなるほど、pHと同じくpKaは小さくなるよ。
さて今まで酸をベースに紹介したので次は塩基をベースとした反応式・考え方をご紹介。
まぁ概念は酸と一緒だよ。
※酸を A としたので、塩基は B にしています。
こいつを酸の時と同様の式(塩基解離定数はKbとします)に落とし込むと
と表せる。
ただ実際にこれが使われることはあまりない。
なぜならこれも基本的にはKaで考えるからだ。
※両方で考えると面倒だしね。
なので共役酸BH+を酸として考えて、水と反応させてみると
になる。
どこかで見たことのある式になってきたね。
つまりはKaを使って以下のようにも表すことができるってこと。
で、結局は同じ話に行きつくんだけど、Kaが大きくなるってことは=反応式[改]の平衡は右に傾くっていうことで、この場合は塩基性が大きくなりますよって話。
つまり塩基性が強くなるほど、pHと同じくpKaは大きくなるよ。
※逆にいえば、pKbが小さいほど塩基性は強くなるよ。
もう一つオマケで、当然のことながら
の関係になってますのでお忘れなきよう。
平衡についてはこんなところかな?
酸、塩基ネタはもうちょっと続きます。
ではまた次回
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