ジエンの特徴①
まず「ジエン」が初出なので最初に簡単な紹介を。
ジエン(dien)っていうのは
・2を表すdi
・アルケンを表すen
が合体して出来た言葉だ。
意味としては上のまんまでようは
炭素の二重結合を2つもつ炭化水素
のことを指す。
このジエンには大きく以下の4種類がある。
①共役ジエン
“共役"という言葉は2つのものがセットで結びついてるもの、を表す。
つまり共役ジエンっていうのは二重結合、単結合が交互に結合したものってことだね。
②非共役ジエン
こいつは言葉の通りで“共役していない"状態のジエンだ。
もうちょっと具体的にいうなら
二重結合同士の間に単結合が2つ以上ある状態
のジエンのことを非共役ジエンっていいます。
③アレン(allene)
見ての通りで二重結合しかない状態のジエンのことだね。
もうちょっと細かくいうと
C=C=C の構造を持つ
不飽和化合物の総称をアレンといいます。
④ヘテロジエン
細かい部分はここでは省略するけど
上の通り“輪になったジエン"をヘテロジエン
といいます。
さて簡単な紹介が終わったところでいつもの通り
まずは以下の3つの特徴について紹介していこう。
1.命名法
2.水素化熱
3.構造
1.命名法
色々パターンがあるけど一番簡単なものは
アルケンの命名後、最後にdieneをつけるだけ
というパターンだ。
※アルケンの命名で分からないところがあれば以下を参考に
応用編:アルケンの命名法①、アルケンの命名法②
一応いっておくとこれは優先順位が一番高いのがdieneの場合のみ
といったパターン場合だ。
なので全てこれで解決するわけではない
のでご注意を。
とりあえず以下の例で考えてみよう。
主鎖はCが4つなのでbutane。
これにアルケンがある場所(1,3)を前につけて
最後にdieneをつければ完成する。
ということで例の名称は
1,3-butadiene
だ。
そして冒頭でも紹介したようにこれは
・炭素の二重結合を2つもつ炭化水素
だ。となると絶対に考えないことがいけないことがあった…
そう、cisやtrans、EやZを考えないといけないよね。
ということで順番に見ていこう。
まずはcisやtransからだ。
以下を見てほしい。
アルケンがある場合、二重結合のCの順番が早くなるように番号を付けたよね?
ということで主鎖はheptadieneになる。
さてここまではいいとして問題はこの後だ。
二重結合は2か所にある…
さてこの場合どちらを基準にcis、transなどを考えればいいだろうか?
実はこれ両方を考えるんだ。
まず番号が若い部分から考えてみよう。
ここだけ見るとtransだよね。
なのでこの部分は
trans-2- になる。
そして次の部分。
これもこの部分だけを見ると
trans-4- になる。
後は番号が若い方から並べればいいので、名称は
trans-2-trans-4-heptadiene になります。
そして、E,Zの場合だけど基本的に考え方は一緒だ。
違うのは一番最初にE,Zを書くことかな。
これも例を見てみよう。
まずさっきと同じように、主鎖の番号が若い方から考える。
優先順位が1,2番の置換基が同じ側にあるからZだ。
また、2の場所にBrがあるので、
(2Z)-2-bromo-
となる。
続いてもう1つのアルケンは、
優先順位が1,2番の置換基が逆側にあるからEだ。
そして、4の場所にCH3があるので、
(4E)-4-methyl-
となる。
最初に言ったけど、E,Zは一番最初に組み合わせるので
(2Z,4E)-
となる。
そして、置換基はアルファベット順なので、
-2-bromo-4-methyl-
最後は主鎖のheptadieneとなるので、みんな合わせて
(2Z,4E)-2-bromo-4-methyl-heptadiene
となるってわけだね。
そして最後にシクロジエンの命名方法を紹介しておこう。
まず、二重結合の頭の部分を1番とする。
そして、できるだけ全ての二重結合部分のCの番号が小さくなるように番号をつける。
そして二重結合部分の番号2つをcyclo-(主鎖)-dieneにつける。
例えば以下の場合だと
1,4-cyclooctadiene
となる。
長くなっちゃったけど命名法はこんなところです。
ではまた次回。
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