Diels-Alder反応①
さて今回から以下の4つに分けて
Diels-Alder(ディールス・アルダー)反応
について解説するよ。
1.Diels-Alder反応とは
2.Diels-Alder反応起こる理由
3.立体保持
4.endo則
それでは順番にいってみよー。
1.Diels-Alder反応とは
さて名前からだとよくわからないと思うので
超簡単にいってしまうと
以下のように
ジエン体とアルケン(求ジエン体)が反応して6員環を作る反応
のことをいいます。
Diels-Alder は発見者の名前で
ディールスさんとアルダーさんの二人の名前が合わさっております。
環を作る反応のことを環化付加反応っていうので
別名で[4+2]環化付加とよんだり
ジエン合成(※)とよばれたりします。
※勘違いしそうだけど、ジエンができるわけではないよ。
あくまでジエン使った合成、という意味です
ちょっと特殊なのはこの反応は熱でのみ起こる。
なので今まで紹介したアリル系なんかで使っていたhv(紫外線)では起こらないんだ。
※詳しい理由は後ほど紹介します。
2.Diels-Alder反応起こる理由
さて気になるのはなぜこういった反応が発生するのか?だよね。
とりあえずの考え方として
まず節というものの紹介からしていこう。
節というのは結合の真ん中で電子密度が0になっている部分だ。
イメージでいうとまず以下のような部分を
節って呼んでいます。
中二病的にいうなら
陽(+)と陰(-)の間の中道(節)
といったところかな(笑)
ここでポイントになってくるのは分子軌道だ。
応用編:アリル系の特徴② で紹介した 4.構造 を思い出してほしい。
理解している人はピンと来たと思うけど
節の数が増えるほどエネルギーが高くなる
つまりは不安定。
ちなみに最もエネルギーが低い結合性軌道になると
全てのエネルギーが同じ向きなので当然節は0になる。
さて、では具体的な例をみながら考えてみよう。
まずは1,3-butazieneの場合だ。
全部で4パターンでき、節の数を小さい順に並べればエネルギーが小さな順になる。
上図の補足として
・反対称(A:anti-symmetrical)
・対象(S:symmetrical)
は真ん中で区切ったとき対称か反対称かを示している。
※見ての通り交互に発生します。
そしてここで重要なのは
・最低空軌道(LUMO:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)
・最高被占軌道(HOMO:Highest Occupied Molecular Orbital)
だ。
名前だけみると小難しく見えてしまうが
要は電子が入ってるもので一番エネルギーが高いものがHOMO
そしてそのすぐ上の電子が入っていない軌道がLUMOってことなので
言いたいことは簡単です。
で、大事なのはこれでいったい何がわかるのか?ということだ。
この点については1,3-butazieneだけだと分かり難いが
例えばetheneと比べてみるとその意味が見えてくる。
まぁこいつもこれだけで見ても何もわからない….
ということでこの2つを比べてみる。
さてポイントは①のピンク枠部分だ。
1,3-butadieneのHOMOとetheneのLUMOのエネルギーの位置が近いよね?
ということは….そう、相互作用が起こる。
つまり、HOMOという一番エネルギーが高い位置にある電子を
受け取ってくれる空軌道(LUMO)がすぐ近くにあるのでお互いが反応するという状況が生まれているんだ。
ちなみに②も反応しそうに見えるけど
こっちはエネルギーの位置が離れてるから反応が起こり難いんだ。
だから①の部分でのみ反応する。
また、もう一つ反応する理由がある。
反応機構で見てみるとが以下のような感じになっている。
…協奏反応だね…まぁそれはいいといしてこれを立体的にみると
以下のようになる。
意味がわかるかな?
そう、同じ位相が重なり合うことで安定化しようとしているんだ。
つまり
・エネルギーの位置が近い
・位相が重なり合う
という2つの理由がこの反応を起こす理由になるってことだね。
長くなったので続きはまた今度です。
ではまた次回。
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