カルボン酸の反応③
それでは続きからー
1.カルボン酸誘導体
(4)酸無水物の合成法
さて、ハロゲンの次はアルカノアート(alkanoate:RCOO-)で置換した場合にできる
酸無水物(carboxylic anhydride)の合成方法を説明していこう。
…といっても改めて解説することはそんなにない。
理由としては(3)で紹介したハロゲン化アルカノイルになったおかげで
他の誘導体を合成しやすくなった
からだ。
ハロゲンは良い脱離基だからね。
ということで
・ハロゲン化アルカノイル
・カルボン酸(求核剤)
を反応させると以下のようにカルボン酸無水物ができます。
HCl(塩化水素)という簡単な化合物が生成でき、かつ
カルボン酸無水物という新しい化合物が出来る
とうことはつまり?
そう、縮合ってやつだね。
反応機構は以下の通りです。
ちなみに生成物の名前はカルボン酸無水物とも言います。
そういえばきちんと紹介をしていなかったけど
酸無水物 というのはオキソ酸((何でもOK)―COOH)2分子が
脱水縮合(H2Oという簡単な化合物が取れる縮合)したものの総称です。
さて上の説明を見ると
取れているのはHClなんだから縮合ではないんじゃない?
と思った人もいるんじゃないかな。
例えば以下のように
カルボン酸2つから水が取れる
ことによって生成するんじゃないか、と考えた人もいるだろう。
まあ、確かにこの方法でもできないことはないんだけど
落とし穴として、この反応を行うには、
・熱
・時間
が先ほどの反応に比べて多くかかるので
一般的な反応とはいえないんだ。
一応補足すると、※最初にも似たようなことを書いてるけど
酸無水物自体が反応性が高く、水と簡単に反応してしまうので
無水条件の方が効率が良いのです。
ただ例外として以下のような
環状の酸無水物ができるジカルボン酸
を加熱すればすぐに合成できることもある。
ここで注意してほしいのが
前述している「できることもある」という点だ。
この現象が起こるのは環が五、六員環になる場合に限られている。
カルボン酸無水物はハロゲン化アルカノイルと同様に
有能な脱離基をつけたカルボン酸誘導体なので他の誘導体を作る時にもよく使われる。
なのでアルコールやアミンのアシル化試薬としてよく使われまする。
ちょっと短いけどきりがよいので本日はこの辺で~。
ではまた次回。
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