カルボン酸の特徴④
それでは続きからー
3.酸性及び塩基性
タイトルからも分かるようにカルボン酸はアルコールと同じで
酸性と塩基性の両方の性質を持つ
珍しい官能基です。
※まぁ両方の性質がしっかり働くかというと…だけれども
◆アルコールにつていは 応用編:アルコールの特徴② で
(1)酸性
カルボン酸は強い酸だ。
…と結論をぶん投げただけではあまりにも不親切なので以下に解説していきます。
まずHが脱離してイオン化したのが以下
pKaは高くても5くらい(低いものは1以下)。
これは低いものでもpKaが12であるアルコールと比べて圧倒的に低い。
つまり酸性の強さは
カルボン酸>(越えられない壁)>アルコール
となる。
こうなる理由としてはOHの隣にC=Oがあることが影響している。
例えば仮にHが脱離しても以下のようにカルボニル部分が共鳴して安定化する。
また、カルボニル基の電子求引性の誘起効果によりO-上の電子が分散してしまうんだ。
上記の共鳴構造から分かるように、3つの共鳴構造のうち左と右の2つの共鳴構造式の安定性は同じだ。
このためカルボキシラートイオン(-COO)は2つのC-O結合の長さが同じという対称構造を持っているんだ。
またこの対象構造となっているC-Oの長さはC=OとC-Oの長さの中間になる。
実際の長さは共鳴構造全て合わせたものだからね。
(2)酸性強くするには?
これは割と分かり易い…はずだ。
まず結論からいうと
カルボン酸の酸性は置換基によって増大する
どういうことかというと酸性はH+が取れた後が安定であればより強力になる。
つまり電子求引基が近くにあればあるほど電子求引性の誘起効果により負電荷が分散し、安定化するので酸性は強くなるんだ。
※細かい話は 基礎編:酸性の強弱 で
そして当然のことながら電子求引基の数が多くなればなるほど酸性は増大します。
実際のpKaで比較してみよう。
ちなみにこれがジカルボン酸になった場合は
酸性として放出されるHが2つに増えるので、pKaも2つある。
単純に考えると電子求引基がくっつかない限り2つとも同じになるんじゃない?
と思うかもしれないが実際のところは以下の用に差が出てくるんだ。
さて上を見ているとなんとなく傾向が見えないかな?
エタン酸とプロパン酸は大きな差がある
けど
ブタン二酸やヘキサン二酸では大きな差がない
よね?
この理由はCOOHが電子求引基になるからだ。
1個目のHが取れると、残ったCOOHが電子求引基として働き誘起効果が働く。
なのでこの状態で安定化してくる、すなわちpKaが低くなるんだ。
また誘起効果は距離が遠くなればなるほど弱まるから
COOH同士の距離が遠くなるほどpKaは同じものに近づいていってるってわけだね。
※これも 基礎編:酸性の強弱 の話です。
本日はここまで~
ではまた次回。
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