アレーンジアゾニウム塩の特徴と反応②
それでは続きから~
3.ジアゾニウム基の還元的除去
タイトルの通りで
ジアゾニウム基は還元剤を使うと除去ができる。
※というかHと交換できるのでこれも置換反応の1種・・・
例えば以下のような感じ
還元剤であるH3PO2 (次亜リン酸)水溶液を使うことで
ジアゾニウム基がHに置換できるってことだね。
前述しているようにある意味置換反応になるんだけど
単純な置換反応と分けている理由として
目的の位置に置換基を導入した後に、除去させるっていう使い方の違いがあるからです。
例えるなら
置換反応
→派遣社員を雇う
→景気が悪くなったが人手は必要なのでより安い派遣社員を雇う
還元的除去
→派遣社員を雇う
→景気が悪くなって人手は必要だが解雇する
みたいな違いがあります。。。
4.ジアゾ化による1,3-ジブロモベンゼンの合成
さてこれは今までの紹介したことを応用しての考え方になります。
Friedel-Craftsアルキル化(ベンゼンの反応④参照)を使えばできるのでは?
と思った人もいるかもしれない。
だけど現実としては以下のように微妙に似ている副生成物ができる。
何でこうなるかというと
オルト、パラ配向性のBrがついている ために
2つ目はオルト、パラ位にくっつくからだ
※↑の配向性についてで忘れた人は ベンゼン誘導体②、③ を見てみよう。
ではどうすればいいんだろうか・・・
そう、要するにメタ位の状態にした後で
Brをくっつければいいということなんだ。
言うだけなら簡単・・・と思った人もいると思うので
具体的に見ていいこう。
以下のような感じです。
順番に見て解説するね。
(1)ニトロ化によりNO2を2つくっつける
電子求引基であるNO2を1個くっつける
→2つ目はメタ位にくっつく
(2)NO2をNH2に変換する
参考:アミンの合成①
(3)Sandmeyer反応で完成
5.ジアゾカップリング
さて、最後は高校化学にも出ていたジアゾカップリングについてだ。
まずジアゾカップリングとは
ジアゾニウム化合物と
他の芳香族化合物を合体させ
アゾ化合物を合成すること だ。
合体=カップリングってことね。
代表的なものはアニリンとの反応があります。
以下のような感じ
名前的にジアゾがカップリングしたがっている?と
考えてしまうと、ジアゾニウムが攻撃する側だと思うかもしれないけど
実際は受け側なので勘違いしないように注意してね。
反応としては
求電子剤であるアレーンジアゾニウムイオンと
求核剤であるアニリン(活性アレーン)との
芳香族求電子置換反応
になっています。
今回のジアゾカップリングでできた
4-aminoazobenzene(4-アミノアゾベンゼン)
は、アニリンイエローと呼ばれる染料として有名?です。
※ちなみにNH2をN(CH3)2に変えると
□バターイエロー(メチルイエロー)という
□高校のころにちらっと出ていた酸塩基指示薬になります。
さてここでジアゾカップリングの生成物は色系が多いな~
と思った人…
Exactly! です。
ジアゾカップリングの生成物は構造的に
より共役しやすくなっているってことは分かると思う。
これにより可視光の光を吸収するようになっているんだ。
話が物理側になっちゃうんだけど
可視光っていうのは人の目で見える波長でこれを感知することで
人間は様々な色を認識している。(生物によってはほぼ白黒にしか見えていないってやつも多い)
つまりこの可視光に影響を与えるので様々な色ができるというわけなんだ。
他の染料も同じような感じで合成されていて
例えば以下なんかがあります。
聞いたことあるかはちょっと微妙かもですが・・・。
IUPAC名がやけに長い・・・ので
こだわりがなければ別名で覚えてしまったOKです。
こいつらは染色に使ったり
セルロースを染めたり
酸塩基指示薬だったり
と、色々使えるので便利です。
まぁこういった傾向があるので
ジアゾカップリングの生成物=色に関するもの
ということを覚えておいてもらったらと思います。
アレーンジアゾニウム塩については以上です。
ではまた次回。
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