アミンの反応④
それでは続きからー(ラスト)
3.ニトロソ化
(3)第一級アミン
さて前回の流れでニトロソ化のラスト第一級アミンの場合
を見ていこう。
今回は全工程が4段階あって少々長いので
各段階ごとに順番に説明していきます。
①ニトロソアミンの合成
まず今までと同じように第一級アミンとニトロシルカチオンからは
不安定な第一級N-ニトロソアンモニウム塩ができ
その後に、モノアルキルのN-ニトロソアミンができる。
さて前回までであればここで話が終わっているのだけれどよく見ていただきたい・・・。
まだN上にHが残っている・・・
つまりはまだ何かと反応ができてしまう
つまり不安定・・・
ということで続きます。
②ジアゾヒドロキシドへの転移
①の最後でも書いている通り不安定なHが
ふらふら移動を繰り返して最終的にジアゾヒドロキシド(※)になる。
※アゾ化合物(R-N=N-R´)ってのがあって
□こいつの大元になるジアゼン(HN=NH)があって…
③水の脱離によるジアゾニウムイオンの生成
んで、さらにHがつくとそこからH2Oが取れる(脱水ね。)
そうすると diazonium ion(ジアゾニウムイオン) ができる。
ちなみに+なのでイオン部分はカチオン(参考:ラセミ体とメソ体)です。
なのでジアゾニウムカチオンというときもあります。
ジアゾニウムイオンは見ての通りもの凄く不安定です・・・。
④窒素の脱離によるカルボカチオンの生成
まず注意点として
こいつはRが第二級、第三級アルキルの場合にのみ起こります。
それ以外の場合は話が変わってくるのでご注意を
以下のようにN2が脱離してカルボカチオンができる。
この後は、転位、脱プロトン化、他の求核剤が攻撃 etc…
と色々なことが起こる可能性があるので
書き表すなら 色々な生成物 が出来上がります。
ちょっとふわっとしているけど深い部分は学生さんレベルなら
そこまで気にしなくてもいいので興味があったら調べてみてください。
(4)アミド
さて今まではニトロシルカチオンとアミンとの反応だったけど
アミドのNとも以下のように反応できるよ。
ちなみにこのN-メチル-N-ニトロソアミドを
塩基の水溶液で処理するとdiazomethane(ジアゾメタン)ができる。
この手の話(この頁での後述の例でも)でよく使われる
N-メチル-N-ニトロソ尿素なんかも上記のようにして作っています。
例えばこんな感じです。
ジアゾメタンは毒性が強く、爆発性もあるっていう
重複していると対処に困る属性持ちなんだけど
以下のように非常に緩い条件(室温、中性)でも
メチルエステル化を行うことができるので重宝されてたりする。
前回ちょっと触れたんだけど
ニトロソ化は人体に有害という点で製薬業界だけでなく
食品業界からも重要視されている。
※結構色んなものに混入してるんだよね、海外輸入品とかにも
□結構入っているので注意が必要だよ。
ということで、皆さんもこいつには十分注意してください。
ではまた次回。
© 2022 猫でもわかる有機化学