カルボン酸誘導体-アミド①
さて、お次はアミドだ。
こいつの一番の特徴は、今まで説明したカルボン酸誘導体の中で
一番求核攻撃されにくい
すなわち
一番反応しにくい
ということだ。
※参考:カルボン酸誘導体の特徴①
ではこのことを頭の片隅に置きながら…
ポイントは以下の4つになります。
1.命名法
2.水との反応
3.ヒドリド反応剤との反応
4.Hofmann転位
それではいってみよー。
1.命名法
さて恒例の名称について~今回はちょっとパターンが増えるので分けて説明していきます。
(1)基本
何をなすにも一番大切なのは「基本」
ということで 例外がなければこれでOK の考え方から説明していくね。
まずはIUPAC命名法の場合、
alkanamide(アルカンアミド)
となっている。
まぁ見ての通りで
アルカン主鎖の最後の-eを-amideに変えたもの
だね。
そして日本語の場合は
Cの数に対応するアルカンの名称の後ろにアミドをつけたもの
となる。
ちなみに慣用名の場合は
カルボン酸の名称の最後の-ic acidを-amideに変えたもの
になります。
簡単な例を見せると以下のような感じだね。
(2)Nの部分にH以外の置換基がついた場合
タイトルだけ見ると?だと思うので、まずは以下を見てくだされ。
簡単にいってしまうと
(1)のアミドはNH2つまり第1級アミドだけ
の話だったんだよね。
そしてこの(2)は第2級、第3級アミドの場合というわけです。
で上の例の場合は(見ての通り2級アミドです)
Nの部分にCH3(methyl)がついているので
接頭語はNとしてN-methyl となるってわけ。
で、このままいつもの通り名付けてもいいんだけれど
実のところNH2に戻して考えた方が早い。
formamideと名付けた後、接頭語部分を前にくっつければ完成だからね。
※IUPACも慣用名も同じです。
念の為、第3級アミドの例も以下に紹介しておこう。
さっきと同じでNH2にするとformamideになるので接頭語だけ考えてみよう。
左はNにCH3が2つなので
N-dimethyl
右はCH3とCH3CH2(ethyl)の2つだけど、
接頭語複数ならa,b,c~のアルファベット順になるので
N-ethyl-N-methy
となります。
Nは各置換基ごとにつけることをお忘れなく。
(3)環状系
さてこれは考えることはあまりない。
名称の最後のカルボン酸(-carboxylic acid)を
カルボキサミド(carboxamide)
に置き換えるだけでOKだ。
(4)環状アミド
まず環状アミドとは?から説明すると
環の中にNが含まれるものだ。
例えば以下のような感じ。
環状アミドは
IUPAC名:aza-2-cycloalkanone(アザ-2-シクロアルカノン)
慣用名:lactam(ラクタム)
って呼ばれています。
で、このシクロアルカノンの名前はCとNの合計数で変わるんだけど
注意点として、この時
NもCとして数えないといけない
といったルールがある。
なので上のアザ-2-シクロペンタノンなんかはCが5個のような名称になっているけど、
実際のCの数は4個なのです。
間違いやすいところなのでご注意を。
(5)炭酸のアミド誘導体
最後に炭酸(H2CO3)のアミド誘導体について。
以下のようにH2CO3の一部がアミドになっているもののことです。
尿素は結構有名だけど保湿剤なんかに
カルバミン酸エステルはこの名前だとピンとこないかもしれないけど
別名ウレタンって呼ばれてて、スポーツ用品とかに結構使われています。
まぁこれについてはこんなのがあるんだーくらいでいいです。
深い内容が興味があれば調べてみてください。
ではまた次回。
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