アルデヒドとケトンの反応⑥
それでは続きから~
6.脱酸素反応
さて、まずは?となったと思う
脱酸素
とは何か、まぁ結構色んな意味で使われるのだけど
有機化学的にはカルボニルのC=Oが還元されてCH2になる反応のことだ。
これには大きくの3つの方法が考えられる。
順番に見ていこう。
(1)チオアセタール-脱硫法
反応機構はアセタールと同じで以下のような感じ。
多分?になって人も多いと思うので解説すると
まずチオアセタールができた後に出てくる
Raney-Ni
について
まず Raney とはラネー合金のことで
触媒作用を持つ金属A
と
その金属Aが溶けない酸やアルカリで溶けた金属B
との合金のことだ。
例によってだけど アメリカ人の Murray Raney さんによって発見されたので
この名前がつきました。
そして今回出てきたRaney-Niっていうのは
まぁNiだからなんとなく想像つくかもだけど
ニッケル と アルカリ溶液でアルミニウムを溶かして微粉状にしたもの の合金だ。
基本的にはニッケルの表面に水素がついてる、ということもあって
水素をつけるための触媒
として使われます。
詳しい反応機構は超絶ややこしいので興味がある人は
還元的脱硫反応
で、調べてもらってほしいのだけれど
簡単にいえば
こいつを使うと脱硫されて炭化水素が出来上がるって思えってもらえればよいです。
あと特徴として
中性条件下で反応が進行する
っていうことがあるかな。
ただし、こいつは
カルボニル以外の多重結合(ベンゼンとか)
も一緒に還元するので、そこら辺は注意が必要です。
(2)Clemmensen(クレメンゼン)還元
さてこいつは名前だけ ベンゼン誘導体⑤ で出てきたね、覚えてるかな?
こいつも名前の由来は Erik Clemmensen さんから。
亜鉛アマルガムを用いて強酸の溶媒中でカルボニル基を還元する反応だ。
で、反応機構なんだけど残念ながら詳細は明らかになっておりません…ということで反応式だけどうぞ
特徴としては
酸性条件下で進行する
つまり酸に弱い(不安定)ものには使えないってことだね。
いつか詳細が明らかになるのを待つばかりだね・・・(ワクワク)。
(3)Wolff-Kishner(クレメンゼン)還元
これも ベンゼンの反応④ で出てきたね。
実は2つの名前が入っていて
Ludwig Wolff と N.M.Kishner が
だいたい同じ時期に別々に発見したので両方の名前がとられた…らしい。
以下のようにH2N-NH2(ヒドラジン)を用いて
カルボニルを還元する反応になりまする。
こいつの反応機構はこんな感じ。
特徴としては
塩基性条件下で進行する
つまり塩基に弱い(不安定)ものには使えないってことだね。
最後にまとめると
(1)チオアセタール-脱硫法
→全ての多重結合を水素化してもよいなら使用可能
(2)Clemmensen(クレメンゼン)還元
→酸に安定なものに使用可能
(3)Wolff-Kishner(ウォルフ・キッシュナー)還元
→塩基に安定なものに使用可能
割と環境に左右されるのでそこを起点に考えるとわかりやすいかもー。
ではまた次回。
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