アルコールの反応①
さて前回まででアルコールを作るところまでいったので
今度はこのアルコールを使ってどんな反応が起こせるのか?を紹介していくよ。
主な反応は以下のとおり
・アルコールの酸化
・塩基との反応
・アルカリ金属との反応
・強酸との反応
・カルボカチオンによる転移反応
・エステルの合成
・ハロアルカンの合成
では順番にいってみよー。(例によって長いので分割します・・・)
アルコールの酸化
さて合成でも登場した酸化だね。
まずは例として以下を見てほしい。
酸化剤(この場合はK2Cr2O7)を使って酸化をしたことを示している。
上記のような感じでアルコールを酸化することで
アルデヒド→カルボン酸
に変化していく。
最初に気にしておいてほしいこととしてアルコールの酸化によって
・アルデヒド
・カルボン酸
の2種類の有機化合物が出来るということだ。
なんとなく想像がつくかもしれないけど
大半がカルボン酸となり、アルデヒドはほとんど入手できない。
なのでゲットしたいのが
アルデヒド なのか
カルボン酸 なのか
を明確にして、その向かうゴールによって使う酸化剤もかわってくる、ということを知っておいてほしい。
それではまずはちょっとややこしいカルボン酸から説明していくよ。
では代表的な酸化剤とその構造を見てみよう
K2Cr2O7
CrO3
Na2Cr2O7
さて何か気づかないかな?
実は各酸化剤には共通点があるんだ。
そう、必ずCrO3の構造が入っているよね。
なぜこうなっているのかは酸化時の反応機構を見ていくと分かりやすい。
反応には酸化剤の他に酸と水が必要になる。
とりあえず第一段階のアルデヒドまではこんな感じ。
まぁ実はここまではどうでもいい(笑)
肝心なのは次の反応だ。
※水和反応の部分は後日紹介するので、一先ずはこんな感じの反応が起こっていると思ってもらえればOK
簡単に解説すると水和反応中に水が付加してしまうことにより自動的にOHが出来てしまっている。
このことによりさらに酸化を進行させることができるので一気にカルボン酸になる。
なのでアルデヒドを実質ゲットすることはできない=カルボン酸ゲットを狙った反応が起こせるってことになる。
じゃあアルデヒドをゲットするには?
そう、水を必要としない酸化剤、例えばPCCなんかが最適になる。
例えばこんな感じ
ちなみにPCC(pyridinium chlorochromate:クロロクロム酸ピリジニウム)はこんなのです。
なぜ水が不要になるのか?というと・・・まぁ反応機構を見るのが早いね(汗)
以下みたいになってます。
簡単にいうとO-がH2Oの代わりになっているってことだね。
あと気づいた人もいると思うけど、酸化剤を使うには酸が必要だ。
だから酸に不安定な官能基があるとその部分も変わってしまうから注意が必要だよ。
ちなみに下のように2級アルコールは何の酸化剤使ってもカルボニルでとまる。
まぁHがなくなりますので
そんでもって3級はいわずもがな、不可能になるよね。
結論として
1級アルコール→アルデヒド→カルボン酸
2級アルコール→ケトン
3級アルコール→酸化できない
っていうことだね。
1つ目の解説で結構長くなってしまった…
次回はもう少しサクサク進めるはず…
ではまた次回
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