今回でアミンの特徴は最後になります。
それではいってみよ~。
さてアミン関連でアンモニアを連想する人も多いと思うので
関連の深そうな塩基性から見てみよう。
アミンのNは非共有電子対を持っている。
つまりは電子供与基になるので、塩基として働くことが出来る。
また前回のお話でも出てきたけど
電気陰性度は N<O なので
エーテルやアルコールと比べて塩基性、求核性が強くなる。
あと基礎編 酸・塩基の平衡 の復習になるんだけど
アミンの塩基性の強さは
水溶液中での
・RNH3+(ammonium ion)
・OH-
への塩基解離定数(base dissociation constant)(※Kbね)
で比べられます。
話としては単純で
つまりはこのKbが大きいほど塩基性が大きい、ということになる。
酸・塩基の平衡 では省略していたんだけど
酸性と同様にKbのままだとpHとの関係が逆になってしまうので
分かり易くするために
-logKb=pKb
と変換する。
これにより、Kb=10-1,10-2,10-3がpKb=1,2,3と一目で分かるようになる。
ようするに
pKbが小さい=塩基性は強い
ということだね。
この点は強弱の関係がひっくり返るので勘違いしないように
注意してくだされ。
ここまでくるともう一つ考えつくんじゃないかな?
そう酸性の強さを表していたpKaを
塩基性の強さpKbから算出することが出来るんだ。
pH=pKa+pKb
だったので
pKa=pH-pKb
にすれば求めることができるよね?
またこの式からpKaが大きい場合、pKbが小さい
つまりは塩基性が大きくなるっていう関係性も見えてくるんだ。
さて今度は酸性を考えてみよう。
覚えていないかもしれないけど参考までに
アルコールのpKaが15
それに対してアミンは35くらいだ。
つまりアルコールに比べて酸性は弱い。
※参考 アルコールの特徴②
ということで、アミンからHを奪うには
アルキルリチウムなど結構強い塩基が必要になってくる。
例えば何度か出てきたLDAは以下のように作られるんだ。
あとはアルカリ金属なんかと反応させてもOK。
※Fe3+はNaからアミンへ電子移動を促進する触媒の役割を持っています。
まぁ基本的なことは 塩基性の強弱 を読んでもらえれば・・・。
※酸性については元々酸性が低いものなので特記はありません。
気になる方は 酸性の強弱 の内容を参考にしていただければと思います。
なのでここではアミンの塩基性を高める方法について解説していきます。
想像はつくかもしれないけど
N上の電子を増やせば塩基性を強くすることが出来る。
つまり電子供与基であるCH3が付けば
当然N上の電子密度が増えるため、塩基性の強さは
RNH2(第1級アミン)>NH3
になる。
この流れで考えていくと
電子供与基が増える→N上の電子は増える
だからアミンの強さは
R3N(第3級アミン)>R2NH(第2級アミン)>RNH2(第1級アミン)>NH3(アンモニア)
だ!
と思ったかもしれないが現実はそうとはならない。
実際は
R2NH(第2級アミン)>RNH2(第1級アミン)>R3N(第3級アミン)>NH3(アンモニア)
になる。
多分混乱する人もいると思うが落ち着いてほしい。
実はこれ、立体反発の影響を受けているんだ。
忘れているかもしれないが Hは小さい ので
周りにあっても何の障害にもない。
が、Rはというと そこそこに大きい。
まぁ実際はこんなもんじゃすまないのだけれど
コンパクトに表すとこんな感じです。
つまりはHをもらった後に出来るイオンが不安定になってしまうんだ。
一方で、アニリンの塩基性は
上記に比べて大きく100000倍程減少している(pKaが5くらい差があります)。
なんでかっていうと以下の様にN上の非共有電子対が
ベンゼン環の共鳴により分散され
N上の電子密度が大きく減少しているからなんだ。
※加えてI効果及びR効果ももちろん関係しています。
まぁここら辺は 塩基性の強弱 で復習してくだされ。
以上、アミンの特徴でした!
ではまた次回。
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