カルボン酸誘導体-アミド②

それでは続きから~

前回改めてアミドが
カルボン酸誘導体の中で最も反応しにくい
という話をしたと思うけど
反応しにくいということは、言い方を変えるなら
反応させるためには今まで以上の強いエネルギーが必要になる
ということだ。

ということでこの反応しにくいものをどのようにして反応させるのか、
が今回の話のキーになる。
それを頭において読んでいってね。

2.水との反応

さて例によって水との反応から~。

まぁ結局のところは水を使った加水分解になるんだけれど
エステルでは
・酸又は塩基
・強い熱
が必要だったのを覚えているかな?

これがアミドの場合は
・強酸又は強塩基
・長時間加熱
にランクアップします。

例によって酸と塩基の場合の両方が考えられるので順番に説明していくね。

(1)強酸の場合

では強酸の場合から、まぁあんまり補足することもないしとりあえず以下を見てくだされ。
※ポイントは3時間も過熱が必要ってところかな。

反応機構は以下

補足として、この時生成される硫酸アンモニウム(※)はアンモニアと硫酸が下のように反応してできるよ。
※肥料とかスキー場の雪固めとか消火剤なんかに使われてます。

(2)強塩基の場合

と来たのでお次は塩基だ。
塩基による加水分解の場合は、カルボン酸塩アミンができるので
この後 酸性水溶液で後処理をすれば、カルボン酸を生成できます。

反応機構は以下

 

3.ヒドリド反応剤との反応

さてこいつについては結構他との差が大きい。
カルボン酸やエステルの時はアルコールが生成されていたよね?
今回はアルコールでなくアミンが生成されるんだ。

さて、何故こうなるのか?なんだけどこれは反応機構を見てしまった方が早い。

さて気になったのはあえて書いてあるアルデヒドを生成する部分×がついているところだろう。
※覚えている人は分かると思うけどこの×がついているのは
エステルなどと同じ流れの経路です。

この原因はNR’脱離機能がO-Al-H(アルミニウムアルコキシド)より低いためだ。
電気陰性度がN<OでOより負電荷を持ちにくい。
そして電子供与性誘起効果のR’が2つもついてるのでより不安定になるんだ。
※参考 基礎編:酸性の強弱

さて上記理由により、NR’が脱離しないおかげで代わりにO-Al-Hが脱離
iminium ion(イミニウムイオン)が出来る。

最後に2個目の水素化物イオン(H)が付加することで最終生成物であるアミンができるってわけだね。

最後におまけで
エステルでも出てきた
diisobutylalminum hydride(略称:DIBAL)(日本語名:水素化ジイソブチルアルミニウム)
を使うと、エステルと同じようにアルデヒドを生成することが出来たりもします。
※参考 カルボン酸誘導体-エステル②

参考までに反応機構も…

次回でラストでーす。

ではまた次回。

 

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