では特徴を説明していくよ。
解説ポイントは以下の6つ
・構造
・双極子モーメント
・末端アルキンの酸性度
・沸点・融点
・水素化熱
・燃焼熱
アルケンと被るところも多いので今回はサクサク行きます。
ではいってみよー。
細かい部分は
基礎編:混成軌道
基礎編:結合
あたりをご参照。
以下の通り構造としては
σ結合1つとπ結合2つからなる直線構造になっております。
細かい部分は
基礎編:原子、分子の間に働く力
応用編:アルケンの特徴①
あたりをご参照。
上で 直線構造 ということが分かったので
ある程度想像がついた人も多いんじゃないかな?
電子求引性はs性が高いほど大きい。
だから sp混成軌道>sp3混成軌道 になる。
↑で考えると
分子双極子モーメントは発生する
と考えちゃう人もいるかもしれない。
だけど、実際は見ての通り打ち消し合うように発生している。
なので全体的な分子双極子モーメントは0になるってことだね。
酸性度については
応用編:アルケンの特徴②
あたりをご参照。
アルケンの特徴を思い出してほしいのだけれど
アルキンはsp2混成軌道よりさらにs性が高いsp混成軌道を持っている。
要するに酸性度が高い。
このおかげで
端っこにアルキンを持つ 末端アルキン
は強い塩基(例えばNaNH2、グリニャール試薬など)を使えば
以下のようなアルキニルアニオンになる。
細かい部分は
応用編:アルケンの特徴②
をご参照。
アルカンとアルケンを比較した時
分子間の相互作用が大きい
からアルケンの方が沸点は高くなった。
↑から分かる通りで、
アルキンの沸点・融点はアルケン、アルカンよりも高くなる。
さてここでもう一段階深く考えてみたいのが
アルキン同士の場合はどういった差が出るのか?
ということだ。
細かい話は次の項でするのだけれど
例えば1-butyneと2-butyneを比較すると
以下のような差が出てくる。
ちなみに1-butyneのように端にアルキンがある場合を
末端アルキン
2-butyneのように端にアルキンがない場合を
内部アルキン
って呼びます。
細かい部分は
応用編:アルケンの特徴③
をご参照。
さて水素化熱を思い出してくれたら
4で挙げた内容の解説をしていこう。
※念の為いっておくと
この反応には全て触媒(Pt-Cなど)
が使われております。
ΔHが大きい方が安定
なので内部アルキンの方が安定ということが分かるね。
理屈としては結局今まで出てきた話の延長で
sp3-sp3よりもsp3-spの方が結合が短くて強固だからだ。
だからsp3-spの数が多い内部アルキンの方が安定になるってことだね。
まず燃焼熱とは?
これはある物質が完全燃焼した時の熱量のことだ。
アルキンがアルカン、アルケンと比べて
非常に高い燃焼熱を持つ…
という意味ではありません。
とりあえず以下を見てほしい。
この燃焼熱が発生したとき、アルキンでは
2500℃以上
の高熱が発生する。
なぜかというと
発生する熱=燃焼熱/生成物の量
となっているためだ。
実のところ燃焼熱を基準で見た場合
propane>acetylene
になるのだけれどそのエネルギーを
3つのCO2 と 4つのH2O
に分けることになる。
だから結果としてacetyleneよりもはるかに小さなエネルギーになってしまうんだ。
このことを利用してacetyleneは
・バーナーの燃料
・金属の切断や溶接(※)
※acetylene+酸素を組み合わせた
酸素アセチレン炎(3000℃以上)
に使われてたりします。
ではまた次回。
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