それでは続きから~
※α,β-不飽和カルボニル化合物の反応はここからが本番(ΦωΦ)
まずなぜタイトルに(基本)と書いてあるかというと
後に続く4~6が全て共役付加反応になるからだ。
とりあえずここでは共役付加反応についての基本的なことを説明していきます。
さて解説をする前に前提条件を2つ紹介しておこう。
まず1つ目、これは前回でも触れてるのだけれど、
今回の反応はOの求核性と2つのCの求電子性をによって起こる
ということ。
そして2つ目は
今回の反応は全てα,β-不飽和カルボニル化合物に1,2(又は1,4)-付加する
ということだ。
※前回の 2.ハロゲン化 とは違ってあくまでカルボニルのOを1番と数えているので勘違いしないように注意しよう。
これは以下のように
・求電子性のA(+に帯電したやつ)
・求核性のB(-に帯電したやつ)
がカルボニルのOとCへそれぞれ付加する反応だ。
単純な話C=Cは無視され、カルボニルしか反応に関与しないってだけ覚えておけば問題はない。
ほとんどの人はわかっていると思うけど
こいつは見ての通りただの付加反応なので共役付加反応ではない
ってところだけご注意を。
既出の例えとして、NH2OH等は以下のように1,2-付加を起こします。
参考 応用編:アルデヒドとケトンの反応⑤
さて、(1)1,2-付加について説明したわけだけど
ある反応剤を使うことによって以下のように1,4-付加を起こす。
ここでようやくタイトルを回収できるけど、こいつが共役付加(conjugate addition)反応というやつだ。
この反応では求核性のB(-に帯電した奴)がβ炭素に攻撃し
求電子性のA(+に帯電したやつ)がカルボニルのOに結合する
という流れが基本になる。
※この例だとAはHの場合が多い。
でこのエノール形は以下のようにケト形に互変異性化する。
ケト型になると3,4-付加じゃん!?
と思うかもしれないが、最初の付加は1,4なので1,4付加と呼ばれています。
ちなみにこのケト形、見方を変えるとA(H)とBがC=Cに1,2-付加したように見えたりするのでややこしい…。
試験なんかだとよく勘違いしちゃう(引っ掛け問題なんかもよくある)ので、こういった問題に遭遇した時は、まず問題文をよく読んで
どこに
何が
どう付加したか
を、しっかりと確認するようにしよう。
この1,4-付加を起こすのは水、アルコール、アミンやこれらの類似化合物になる。
全部紹介するときりがないので代表的なもので1つずつどんな感じになるか書いておきますのでご参考くだされ。
①水(H2O)、アルコール(ROH)
アルコールはH(A)の部分がRになる。
反応機構はさっき説明した1,4-付加とは少し違って以下のようになります。
②アミン(R-NH2)
こいつの反応機構は上で書いた(2)1,4-付加と同じになるのでry。
③シアン化水素(HCN)
さて、上には書いてなかったけど最後に少し変化球なものを紹介して〆ようと思います。
こいつの反応機構も(2)1,4-付加と同じになるのでry。
さて1,4-付加は酸、塩基触媒のどちらでも起こるんだけど、一般的には塩基の方が速いし、1,4-付加したものが多くできる。
また反応としては可逆反応になるので、高温だと逆反応が起こってしまうという特性もあるのでそこら辺は注意が必要にだね。
あと細かい話は
応用編:アルケンの特徴③
で確認してほしいんだけど、1,2-付加体よりも1,4-付加体の方が安定なんだよね。
だから反応が平衡系(高温)の場合、1,4-付加が起こるってこともおさえておいて下さい。
※ジエンの反応と同じ考えになります。
ではまた次回。
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