それでは前回の続きから

3.酸性度

前回から繋がる話になるのだけれど
s性が高い→電子吸引性が高い
↑から何が言えるか?というのがこの項目のポイントだ。

電子吸引性が高いということはつまりは電気陰性度が強いってことなんだよね。
つまりはそれだけ共役塩基が安定化されている

ここまで来ると何かを思いださないかな?
※忘れていれば 基礎編:酸性の強弱

つまりはアルカンとアルケンを比較した場合、アルケンの方が酸性が高いという話なんだ。
まぁこれもあくまでアルカンとアルケンの比較なので
酸性の強さという点においてはアルコールや硫酸なんかに比べると
ドングリの背比べだけど…

下図の通りpKaに直すとアルカン50、アルケン44という異常な数字になるね。
まぁ参考程度で。

 

4.沸点・融点

そしてお次は物理的性質代表の融点・沸点だ。

以下を例に説明していこう。

アルカンがbutane
アルケンがtrans-2-butene、cis-2-butene
だよね。

まずは沸点について
今まで何度か紹介しているので想像はつくと思うけど
アルカンとアルケンを比較した場合は分子間の相互作用が大きい(二重結合あるからね)
アルケンの方が沸点は高くなる。

そしてtransとcisでも差が出ているよね。
詳しくは次回の6.相対的安定性で解説するけど
ようはcisの方がtransと比べてより安定な状態になっているからなんだ。
まぁ詳しくは次回で。

そして融点について
なんとなく沸点と同じになる感じもするけどなんと
trans-2-butene>butane>cis-2-butene
といった順番になる。

さてなんでだろう?

これについてはそもそも融点とは何か?という所から考える必要がある。
融点とはご存じの通り固体から液体に変わる現象だ。
そしてポイントとなるのはこの時の原子、分子がどういった状態にあるか、ということなんだ。

昔学校(中学くらいかな?)の教科書で
固体→液体→気体
と状態が切り替わるごとに原子・分子がより自由に動けるようになる絵があったりしなかっただろうか?

ようは融点というのは
熱エネルギーを原子、分子に与えて
ある程度自由に動けるするために必要な温度
ということになるんだ。

さてちょっと雑で申し訳ないけど以下を見てほしい。

こいつは各化合物が固体となった時の簡易的なイメージだ。
固体になるっていうわけだから原子、分子は隙間なく積み重なっていき、動けなくなる
で、cisは見ての通りで隙間が出来やすくて密に充填しにくい。(形からU字型構造っていうよ)
なのでちょっとの熱で簡単に動けるようになってしまうんだ。

で、残るはtransとアルカンになるのだけれど
上記の理屈だとアルカンがより密になりそうだが実際はtransに大きく差をつけれている。

これにはファンデルワールス力が関係している。
※忘れていれば 基礎編:原子、分子の間に働く力

ファンデルワールス力が強いほど分子同士を引きはがすのにより強いエネルギーが必要になり融点が高くなる
まぁここまではいいだろう。
で考えるべきはなぜ同じような直線構造に見えるアルカンとtansのアルケンで差が出ているのか?というところだ。

これについてはsp3混成軌道とsp2混成軌道がそれぞれどんな状態であったのかを思い出してほしい。
sp3混成軌道は正四面体構造
sp2混成軌道は平面三角形

だったよね。

そしてファンデルワールス力は、平面三角形の方が強い
だからsp2混成軌道をもつアルケンの方がファンデルワールス力は強くなり
結果融点が高くなっていた、ということなんだ。

2回目こんなところで。

ではまた次回。

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さてでは例によって特徴から説明していくよ。

解説ポイントは以下の6つ

・構造
・双極子モーメント
・酸性度
・沸点・融点
・水素化熱
・相対的安定性

・・・長くなるので3回くらいに分けます。
ではいってみよー。

1.構造

まずは復習もかねて 基礎編:結合 の内容から
アルケンの二重結合は以下のようにσ結合、π結合から作られている。

で、このσ結合とπ結合それぞれがどういうものだったか覚えているかな?

二重結合の
・1本目はσ結合
・2本目はπ結合

だったよね。
もうちょっと具体的な言い方をするなら

・σ結合は丁度お互いの原子起動が重ね合わさっている状態
・π結合は隣り合ってなんとか電子軌道が重ねているだけの状態

なんだ。
予想はつくと思うけど当然σ結合の方が結びつきが強い
どれくらいの差があるかというと
CH=CHでは
σ結合の強さ:108kcal/mol
π結合の強さ:65kcal/mol
くらいの差がある。。。分かり難いかな。。。まぁσの方が強いのです。

でまず何が予測出来るかというと
二重結合がある→sp2混成軌道となっているってことがわかる。
※?になったら 基礎編:混成軌道 を見直してみよう。

さて単純な知識でレベルの話ならこれくらいでOKなのだけど
応用なので一つの注意点を紹介しておこう。

まずアルケンは二重結合をもっているがイコールsp2混成軌道という訳ではない
むしろsp2混成軌道だけで構成されているのは
置換基がすべてのHであるCH=CHくらいだ。

ではアルケンに他の置換基がついている場合はどうなるのか見てみよう。
例えば
CH=CH-CH

CH=CHの部分は二重結合なのでsp2混成軌道だろう・・・
ではCH-CHの部分は?
単結合なのでsp混成軌道となるとも考えられるよね?

実はsp2混成軌道sp3混成軌道
それぞれで構成している
ので、以下のように手をつないでいる状態になってるんだ。

なのでアルケン(置換基にH以外がある場合)
sp2混成軌道とsp3混成軌道でつながっている構造になっているんだ。

2.双極子モーメント

さてこれは 基礎編:原子、分子の間に働く力 の内容になってくる。

結論からいうと
シス体アルケンは弱い分子双極子モーメントを持つ。
トランス体アルケンの分子双極子モーメントは0になる。
※ただし同じ置換基を持つ場合なので注意!

では解説していこう。
まず1.で紹介したとおりアルケン(置換基にH以外がある場合)は
sp2混成軌道とsp3混成軌道を持っている。

さてもう常識だと思うけど 基礎編:原子軌道
で紹介した通りsはpよりも原子の核(+)に近い位置になる。

これから何が言えるかというとsはpよりも電子を求引する力(電子求引性)が強いっていうことなんだ。
sp2混成軌道はsが1個とpが2個が合わさったもので
sp3混成軌道はsが1個とpが3個が合わさったのだよね。
まぁ見たまんまで全体におけるsの割合(世間ではs性と呼ぶ)はsp2の方が高い
ということで電子求引性
sp2混成軌道>sp3混成軌道
となることがわかる。

この力関係に偏りがある発生するのがいわゆる分極だったよね。
※まぁ今回のはOやClと比べると圧倒的に低いけど。

ということで最初の結論につながります。
まずはシス体の場合は以下のような感じ

※左の大きな矢印が全体の双極子モーメントを表しています。

でトランス体の場合は以下のような感じ

見ての通りで真逆方向に双極子モーメントが発生する
からお互いの力が相殺される。

とりあえず1回目でしたー先は長い。。。

ではまた次回。

 

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前回説明したエーテル繋がりで
今回はオキソシクロプロパンについて説明するよ。

簡単にいってしまえば3員環の構造をもった環状エーテルのこと。
別名はエチレンオキシド、オキシランなどいろいろある。
ちなみにIUPAC命名法では1,2-epoxyethaneでこれがむしろ一般的かな?
こんな構造です。

他の有機物質を合成するときによく使われるもので
洗剤やポリエステルの材料になる
・エチレングリコール
・エタノールアミン
の材料になったり、
医療器具の滅菌するときに使われる滅菌ガスとして使われたりと
割と身近なところで使われてる有機化合物だよ。
※ちなみに性質としては発がん性物質でもあり
分散爆発性(火花とか静電気で爆発する性質)があったりと
なかなかデンジャラスさんなのでご注意を(汗)

なんとなく想像はつくだろうけど大体は

な感じでシンプルに描きます。

さて簡単な紹介を行ったところで具体的な特徴を紹介していこう。
主な特徴は以下の2つ

・水、有機溶媒に対する溶解性
・求核剤との反応

ではいってみよー。

水、有機溶媒に対する溶解性

こいつについては見てのとおりになるのだけれど
・水と水素結合を形成できる0(極性
・疎水性のアルキル基(無極性
が両方ともあるよね?

これがどういうことなのかといえば…そう、“どちらにでも"溶けるっていうことなんだ。
つまり、水中だろうが有機溶媒中だろうが使うことができるとても便利なものってことだよ
※意味がわからなければ
基礎編:原子、分子の間に働く力
基礎編:溶解性
あたりをご参考ください。

何がどう便利なの?って思った人がいたら…そうだね…
選択肢をたくさんもっているって考えたらわかり易いかな。

理系科目特化、文系科目特化、芸術科目系特化
みたいに尖がったステータスも魅力的ではあるけど
得意不得意なくなんでも出来るとその分将来できることの幅は広がるよね?
そんな位置づけで活躍できる化合物さんです。

求核剤との反応

これは例を見ながらがわかりやすいかな?
気づいた人もいるかもだけど
まず場所によって電気陰性度に差が出来ている。
だから以下ように“電子の偏り"が発生しているんだ。

で、これから何が言えるかといえば
Oの両隣の炭素は求核攻撃を受けやすくなるんだ。
しかも3員環・・・つまりはひずみ度合いはとても大きいってことでさらに反応しやすさがアップする。
そんな状態の物質に求核剤が反応すると・・・まぁ2反応が起きるよね。

詳しい話は別途紹介するとして参考までに以下のような反応になるよ。

ちょっと話がとっちらかった感があるのでまとめると
ようはオキサシクロプロパン求核剤に対して超反応します!ってことだね。

特徴としては以上かな。

ではまた次回。

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さて前回に引き続き「特徴」です。
今回のテーマは

物理的性質

細かく分けると
・エーテルだけでは水素結合しない
・アルコールより沸点低い
・水と混ざりにくい
・溶媒和
がある
それでは一つずついってみよー。

エーテルだけでは水素結合しない

水素結合についての詳しくは
基礎編:原子、分子の間に働く力
を読んでください。

そもそも水素結合っていうのは
「電気陰性度が高い2個の原子(F,O,Nとか)が水素原子を間に挟んで結びついてる結合」
のことだ。

で、水素結合の理屈を考えた時、
エーテルのOは両方ともCと結合をしている
つまりはOに対してHが直接くっつける余地がない
どういうことかっていうと
エーテル単体では水素結合が出来ない、ということだ。

これだけだと
・・・そうでしょうね、で?

って思う人が多いことだろう。(汗)
だけど今回のメイン(一番重要)はこの特徴になる。
この特徴が後々の特徴に関与してくるよってことで最初に紹介しました。
この特徴を意識して以降を読んでもらえたらなって思います。
それでは続きをば。

アルコールより沸点低い

基礎編:原子、分子の間に働く力
応用編:アルコールの特徴①
で紹介済みの内容になるけど
エーテルとアルコールを比較した時の象徴的な特徴だ。

理由としては①の通りエーテル単体では水素結合が出来ない
ようするに結合の切断にかかるエネルギーアルコールに比べて少なくてすむ
結果として沸点がアルコールに比べて低くなるっていう説明が出来るってことだね。

水と混ざりにくい

そもそも身近にありすぎて意識していないかもしれないけど
水(まぁ色々種類はありますが)っていうのは最も単純な水素結合の例の一つだ。
液体の水は水分子(水素原子2、酸素原子1)がたくさん集まることで出来ているのだけれど
水分子には2つの非共有電子対(酸素原子のやつね)があって
それぞれの非共有電子対が別の水分子の水素原子と1つの水素結合を作るっていう状態になっている。
この繋がりがあるので水は水素結合を持たない他の化合物に比べてとても沸点が高い(当然融点も)。

前置きが長くなってしまったけれど
そんな訳だから
水素結合が出来ない野郎なんて最初からお呼びじゃございません!
っていうことだね。
例えばHUNTER×HUNTERグリードアイランドに参加する為には念が使えることが条件だったように
ようは最低要件を満たせていないやつなので門前払いをくらっている状態になっているんだ。
感情が入らない分よりシビアってことだよ(笑)。

溶媒和

※「溶媒和」の細かい話は 基礎編:溶解性 をご参照ください。

さて、今まで水とかで溶媒和をしていた(例えばNaClが水に簡単に溶ける的なやつね)のだけれど
エーテルがクラウンエーテルの時、中心金属イオンが溶媒和される。

とりあえず以下の構造を見てもらうとなんとなく分かるんじゃないかとは思う。

中心部分にスペースがあるよね?
ここに正の電荷を持つ金属イオン(金属カチオン)が入り込むと
Oのもつ非共有電子対によって金属イオンが強く捕まえられる、つまりは安定化するんだ。

例えば、18-クラウン-6は下のようにKを溶媒和される。

もう一ついえばそれぞれの大きさのクラウンエーテルによって穴の大きさも違うので
溶媒和できる金属カチオンも異なってくる
これによって何が起こるのかというと、有機溶媒(無極性溶媒)に金属カチオン(極性物質)が溶けるようになるんだ。

ちょっとややこしいかもしれないが基本に戻って考えてみよう。
まず極性物質は無極性溶媒に溶けにくい
で、クラウンエーテルはというと極性溶媒より無極性溶媒に溶けやすい

???極性のあるOがあるじゃん???

と思うかもしれない。
考え方は正しくて確かに電気陰性度が高いOがあればCとの間では双極子モーメントは発生する
ただこれはお互いが対な配置になっている場合の話になるんだ。

改めてクラウンエーテルの配置を見てみよう。

まぁなんというか「均等」に配置されているのが分かるかな?
図の矢印の色が同じところお互いに相殺状態(極性がない状態)になっているんだ。

この発見にによりKF、KCNのような無極性溶媒に溶けにくいものを有機溶媒中で使えるようになった
有機合成に新たな道が開けたってわけなんだ。

エーテルの特徴はこんなところかな。

ではまた次回。

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さて今回はアルコールについて解説していくよ。

アルコールといえば。。。

第一に浮かぶのはお酒もしくは消毒薬ってところかな?

まぁ知っているとは思うけどこいつらにはエタノール(C2H5OH)っていうものが入っている。
このエタノールがアルコールの一種なんだよね。

正確にいえば
炭化水素の水素原子をヒドロキシ基 (-OH) で置き換えた物質
言い方をかえると
アルキル基OHがついたもの
総称アルコールっていうよ。

構造としては以下のような感じだね。

さてじゃあ紹介がてらアルコールの特徴を見ていこう。

命名法

まずは名前の付け方だ。
基礎編:命名法 のところでもちょこっと紹介はしたけど
語尾が ol に変わる(IUPAC命名法)っていうのが大原則

ちなみに古い教科書だと慣用名が出てくるけど
名前の付け方は
アルキル基の名称+alcohol
となる。

例えば以下みたいな感じになるってことだね。

あとついでに紹介すると
アルコールには
1級、2級、3級アルコール
とか
二価、三価アルコール
なんてものがある混ざってよく勘違いされるのでちょっと補足しておくね。

まず1級、2級、3級アルコールなんだけどこいつは
1級、2級、3級 アルカン OH が付いたもの
を指している。

よく間違って覚えているパターンとしてOHの数が1、2、3個の場合は~っていう覚え方をしてしまっている人がいる。
この場合は(なんとなくお察しかもだけど)
二価、三価アルコールになる。
※これはどちらかというと「生化学」の分野でよく出てくるかな。

沸点

さてお次は沸点、もっといえば構造の特徴について解説しようと思う。
最初に紹介したアルコールの構造に部分電荷の情報を加えてみると、以下のような感じになる。

さてこの構造を見て、何を思い浮かべるかな?

・・・OHがついてるってことは水素結合が作れるよね?
※分からなかったら、基礎編:原子、分子の間に働く力

ということはOHがついてないアルキル基よりも
結合の切断にエネルギーが必要になるってことだ。
結果として沸点は高くなる。

(例)
CH3CH2OH  78.5℃)
CH3CH2CH3(-42.1℃)
CH3CH3(-88.6℃)

さてここで1で紹介したグリコールさんを思い出してほしい。

上記の理屈であれば・・・

そう、もちろんグリコールの沸点は通常のアルコールに比べて高くなるってことだね。

(例)
エチレングリコール(197.3℃)

疎水性と親水性

さて今度はタイトルの通りで水に溶けやすいか否か?の視点で見ていくよ。

まぁここはシンプルな話で以下の通り

アルキル基は疎水性なんだよね。
そしてヒドロキシ基は親水性

このことから分かることは?

そう、アルキル基が増えると水に溶けにくくなっていくってことだ。
ただしただ溶けにくくなるわけじゃない。

どんなことが考えられるか分かるかな?

結論としては非極性物質(疎水性物質)溶けやすくなるっていうことなんだ。

この配分がちょうどいいのがずばりエタノール

エタノールは
・生体にとって毒性が比較的低い
・飲用可能(まぁ色々条件はあるけど)
・水と比べれば非極性物質が溶けやすい

なんて特徴がある。
だから医薬品香水はてはバニラのような植物エッセンス溶媒としてよく使用されているんだ。

長くなったので今回はここら辺で、もうちょっと続きます。

ではまた次回

 

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