それでは続きから~
さてOHと2重結合の組み合わせは以前エノラートとエノールで説明した通り。
フェノールもこの組み合わせになるので、ケト型とエノール型が存在します。
でその時に
エノールの方が不安定
という話をしたのを覚えているかな?
参考:エノラートとエノールの特徴①
さて今回のポイントとしてこの状態が逆になる
すなわち
エノールの方が安定
になるっていう特徴があります。
さてなんで?って思った人は以下の共鳴構造を見ていただきたい。
ポイントは芳香族性がどうなっているか、だ。
見ての通り
エノール型は芳香族性が保たれている。
だけど、ケト型は共鳴により
芳香族性を持っていないものがほとんどになってしまう。
芳香族性を持つものは同じ分子量のものと比べて安定だったよね。
だから上記のような逆転現象がおこるんだ。
参考:ベンゼンの特徴②
さて、最後は酸性度について
まずフェノールのpKaとその他を比べてみると以下のようになっている。
カルボン酸(pKa:3~5)<フェノール(pKa:9.87)<アルコール(pKa:16~18)
つまり、カルボン酸より弱いけどアルコールより強い酸
っていうことがわかるね。
理由は今まで何度も出ているので察しがつくと思うけど
共鳴
だ。つまりHが取れた後のアニオンである
フェノキシドイオン(phenoxide ion)という共役塩基の負電荷が
ベンゼン環に非局在化することによって安定化しているんだ。
ちなみに当然懐かしのI,R効果の影響も受けます。
参考:酸性の強弱
例えば以下。
ニトロ基をつけるとpKaは小さくなったのがわかるかな?
これは電子求引性により共役塩基が安定化し酸性度が高くなったためだ。
で、くっつく位置によってpKaが変わっているよね。
ここで酸性度が m位<o,p位 になっているのが共鳴効果の影響によるものなんだ。
o,p位にある時はNO2の真下に-がくる
つまりはR効果が働くんだけど
mでは真下に-が来ないので
R効果が働かなくなっているんだ。
※ピンとこなかったら酸性の強弱を復習しよう。
さて、これでフェノールの基礎は大体おさえれたと思うので
次回からは合成方法についてやっていくよ。
ではまた次回。
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