カルボン酸の反応⑥

さて前回でメインになるカルボン酸誘導体の話が終わったので
残りはサクサクいきます。

2.Hell-Volhard-Zelinsky反応

読みはヘル・フォルハルト・ゼリンスキー
発見した3人の科学者の多分ラストネームが合体して付けられた名前、といわれています。

応用編:エノラートとエノールの反応①

に出てきたアルデヒドケトンと同じように
カルボン酸のα炭素Br(広義でいうならハロゲン)に置き換える反応だ。

さりげなくがあることに気づいた人は?になるかもしれないけど
これは以下のようにこの反応に必要なPBrを合成するために必要なんだ。
※PBr腐食性が強く保管が難しいので
反応容器中で合成することが多いです。

さて、反応機構は4段階あるので順番に説明していこう。

①臭化アシルの生成

まず、カルボン酸とPBrが反応して臭化アシルができる。
※参考 応用編:カルボン酸の反応②

②エノール化

臭化アシルは酸触媒ですぐにエノール化される。
※参考 応用編:エノラートとエノールの特徴①

③臭素化

エノールが臭素化される
※参考 応用編:エノラートとエノールの反応①

④交換反応

臭素化されたエノールがカルボン酸と交換反応を起こす。
この反応により、ブロモカルボン酸と臭化アシルができ
この臭化アシルが反応②エノール化に再利用できるってわけだね。

さて、この反応ですが、何に使えるかというと
特定の置換基をα炭素のところにつけたい
場合に活用することができる。

例えば以下

最終目的としてはNHを付けたいと思った場合
この反応でBr付けたものを経由すれば
Br(ハロゲン)が脱離基として働くので目的の場所にNH
付けることができるってわけだね。

3.カルボン酸の還元

さて、最後にカルボン酸(COOH)のC=O部分を還元して
アルコール(CHOH)にする方法について解説するよ。

※この段階でよくわからなければ 応用編:アルコールの合成② へ

正確な反応機構はまだ解明されていないので現段階での予想は以下のようになっています。

まず
LiAlH(水酸化アルミニウムリチウム)が塩基として、酸塩基反応を起こすことで
リチウム塩(RCOO-Li+)ができる。

さてもしからしたら
あれ、このままじゃC=OのCに求核攻撃できなくない?
と思うかもしれないね。

けれどこの場合は心配しなくていい。
なぜならLiAlHの反応性が高いんだ。
なので多少でも+があれば求核攻撃をしてくれるんだ。
求核攻撃後は酸性溶液中で処理すれば目的の第1級アルコールをゲットできる。

と考えられています。
まぁ変わる可能性はもちろんあるので
その時は都度新しい情報にアップデートしよう。
社会に出ると年とる体感が早いせいか日々アップデートに追われるよ(笑)
追いていかれないように頑張ってね。

これでカルボン酸の反応は終わりでーす。

ではまた次回。

 

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