では ラストオキサシクロプロパン として
オキサシクロプロパンの反応を見ていこう。
まずは復習から
応用編:オキサシクロプロパンの特徴 の 求核剤との反応 部分
オキサシクロプロパンは
求核剤とSN2反応を起こして
エーテルとアルコールが組み合わさったものができていたよね。
この例ではOの両隣のCの部分に差異がない。
ようはどちらを攻撃しても同じものができている。
では応用ということでCの部分に差があった場合はどうなるのか?
を考えてみよう。
細かくはもっと色々あるのだけれど
とりあえずおさえておきたい代表的なものとして以下の3つがある。
・オキサシクロプロパンの置換基に偏りがある場合
・求核剤がヒドリド反応剤や有機金属反応剤の場合
・酸触媒がある場合
では一つずついってみよー。
さてまずもってこれは何反応に関する話だったのかを思い出してほしい。
そうSN2反応だよね。
基礎編:SN2反応速度に影響を与える因子①
の部分とつながるけど、結論をいうと置換基が多いとその分求核攻撃しづらくなる。
つまりOの隣の炭素に置換基がついていると
より置換基が少ない方を攻撃するようになります、以下のような感じ。
さてここでは応用編の内容も入っているので
タイトルだけで???になった人は以下で復習をば
ヒドリド反応剤 応用編:アルコールの合成②
有機金属反応剤 応用編:アルコールの合成③
さて内容としては1.と一緒で結局のところSN2反応だから
より置換基が少ない方を攻撃するようになります。
それぞれ以下のような感じ。
で、なんで1.と分けているかというと生成物が異なるからだ。
2.の場合は純粋なアルコールが出来ている。
1.の場合はアルコールだけでなくエーテルもできてしまう。
そうなると、もし求核剤がハロゲンとかでも純粋なアルコールはできないよね。
ということで
・ヒドリド反応剤
・有機金属反応剤
とオキサシクロプロパンを反応させると純粋なアルコールを合成できる。
※後々役に立つので覚えておこう…
こいついては例を見ながらがわかりやすいと思うので
以下を例に考えていこう。
結論から言ってしまうと、これは1、2の場合とは違い
置換基が多いほうを攻撃する。
???かもしれないが、まぁ続きを読んでくだされ。
まずは酸触媒によりOにHが結合した時、以下の状態になっている。
今までと大きく違うのがこの部分になる、違いが分かるかな?
Oが+に帯電しているよね。
これでどうなるのか?というと電気陰性度が高いOは+だと不安定なので
両側のCから電子(-)を引っ張って安定化しようとするんだ。
仮にCH3が2つついている方を A
逆を B とした時
Aは+I効果によりOにとられた電子を補充できるが
Bはそれができない。
このため電子と一緒にOの方に引っ張られることにより以下のような状態になる。
想像できると思うけど結合っていうものは
距離が伸びるとつながりが弱くなって切れやすくなる。
立体障害がないけど強固な結合を持つBより
置換基が多くて立体障害があるけど結合切れやすいAを攻撃した方が
反応がしやすいってことなんだ。
だから反応は下のように進行するよ。
似たように見えても触媒によっては
別パターンの反応もありえるってことだね。
オキサシクロプロパンについては今回で〆です。
ではまた次回。
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