さて、お次は割と色々なところで紹介済みの
エステル
について掘り下げていくよ。
応用編:カルボン酸誘導体の特徴①
でも書いているとおり、カルボン酸がありふれた存在であるので
もちろんカルボン酸誘導体もありふれた存在なんだけど
このエステルはそのカルボン酸誘導体の中で最も多く自然界(花や果物)に存在していると言われている。
※甘い香りなんかの元は大体こいつなんだ。
なのでエステルはカルボン酸誘導体の中では最も重要と言われてたりします。
ポイントは以下の8つ。
1.命名法
2.水との反応
3.アルコールとの反応
4.アミンとの反応
5.Grignard反応剤との反応
6.ヒドリド反応剤との反応
7.エステルエノラート
8.自然界のエステル
それではいってみよー。
さて恒例の命名法について~
ということで、まずは英語で読んでみよう。
まぁ内容としてはとても単純で
アルキル基名+カルボン酸で並べて
-oic acidを-oateに変える。
これだけでいい。
で、日本語の場合なんだけどここで1つ注意点があって
日本語の場合は
カルボン酸+アルキル基の並びになるんだ。
ようするに順番が英語の時と逆になるのです。
一応補足(復習)しておくと
アルキル基とは-COO-のO側についてる方。
カルボン酸はC側についてる方。
で、命名時はCOOのCも数に加えるってことも押さえておいてください。
あと置換基(-COOR)としては
alkoxycarbonyl(アルコキシカルボニル)と呼ばれていたりします。
ただ置換基として活躍するのはより優先順位の高いカルボン酸もついてる時なので、、、あんまり機会はないかな。
※優先順位については 基礎編:命名法 へ
そして環状エステルはlactone(ラクトン:慣用名)と呼ばれています。
IUPAC名だとoxa-2-cycloalkanone(オキサ-2-シクロアルカノン)
なんだけど、ちょっとこれだけだと分かり難いので例で見てみよう。
慣用名の前にα、β、γとギリシャ文字がついているよね?
最近こういった記号を見ると新型コロナや放射能が連想しちゃうかもだけど、今回は全く関係ない。
これは環の大きさを示す記号なんだ。
上図を見て想像はつくと思うけど
ギリシャ文字は-COO-のO部分から始まって
C部分で終わるまで順番についているよね。
そして慣用名はこの一番最後のギリシャ文字をつけるっていうルールがあるのです。
つまり名前についているのが
αなら三員環
βなら四員環
っていうことがわかるってわけだね。
さてまたもやお決まりの水との反応について
ハロゲン化アシルやカルボン酸無水物に比べると
ずっと反応しにくい
のだけれど、一応酸や塩基触媒があれば水との反応で加水分解をしてくれます。
まぁこういった場合は例を見た方が分かり易いと思うので以下を見てほしい。
これは過剰の水と強酸を反応させることで
カルボン酸とアルコールに分解しているんだ。
※「エステル化の逆反応」とも呼んだります。
別に加熱しなくても反応自体はおきるんだけど
いかんせん時間がかかるので普通は加熱します。
あと反応式を見て分かると思うけど、可逆反応です。
反応機構は以下の通り。
あと上でもちらっと書いたけど強塩基でも以下のように加水分解はおこるよ。
※「けん化」と呼ばれています。
反応機構はry。
見ての通り塩基によって水のHが奪われ
求核性の強い水酸化物イオンになるので、COのCへ求核攻撃できるようになる。
このため、エステルの加水分解には塩基が少なくとも1当量必要になるってところがポイントだね。
※当量の部分がわからなければ 応用編:アルキンの合成 を参照
あと酸触媒と違ってこれは反応が完結する。
※さりげなく途中で可逆反応ではなくなってることに気付いたかな?
なので最終的な生成物としてはカルボキシラートイオンが出来る。
こいつを酸触媒で後処理してやれば目的のカルボン酸ができるっていうわけです。
ではまた次回。
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