エーテルの特徴①

さて今回は「エーテル」の特徴について解説していくよ。

名前だけ見るとFFシリーズのMP回復アイテムが頭に浮かぶ人もいるかもだけど
違います。

基礎編:有機化合物の分類
やその他でもちらほら出てきてたけど
特に有名なのはジエチルエーテル
※かつては麻酔に使われてて…直嗅きすると失神するレベルの危険薬品なので注意を。
よく「理科の実験」なんかに出てくるよ。

こいつは非常に気体になりやすいのでその性質を利用して蒸留など化合物の分離によく使われている。
構造は下のようにOがアルキル基に挟まれている構造だ。

ではこいつの特徴を順番に見ていこう。

命名法

まずは名前のつけ方から~
これには3種類あるので順番に見ていくとしよう。

普通のエーテル

さてどこで話ても難しい定義になるのだけれど
そもそも普通とはなんぞや?
と思うかもしれない。

まぁ今回はそんなにややこしいことはなくて、冒頭で紹介した。

の構造をいわゆる「普通」のエーテルとことだと考えてほしい。

基礎編:命名法
で一覧表にひっそりとのっているのだけれど
基本はこの通りで
・一番長いアルカンが主鎖
・短い方のアルカンの語尾が-oxy
となる。

もうちょっと簡単な言い方をするなら

短いアルカン(-oxy)+長いアルカン

となる。

まぁ何事も実際にものを見た方が早いと思うので
例を一つ紹介しよう。

methoxy ethane

アルカンとしてはmethaneethaneがあるよね。
そしてこの場合はethaneの方が長い
だから短い方のmethaneの語尾をoxyに変えて、最後にethaneが付く。
というわけ。

ちなみこれ体系的命名法での呼び方だ。
古い呼び名である慣用的命名法の場合は、
アルファベット順にアルカン(接頭辞に変えた状態)を並べた後、語尾にehterをつける

先ほどと同じ例で考えると

ethyl methyl ether

となる。
また例えば

のように同じアルカンが付いている場合は
慣用的命名法の場合、名前に2という意味のdiをつける。
※体系的命名法には変わりはない。なので

体系的命名法:methoxy methane
慣用的命名法:dimethyl ether

となります。

環状エーテル

名前にもろに環状と入っているのでお察しだとは思うが
こいつについてはシクロアルカンがエーテル化した状態と考えてほしい。

では以下を例に考えてみよう。

先ほどと同じように考えるならCは4つあるので
cyclobutane?
と考えるかもしれない。

が、それは間違いOもCの1つとして数えることになっている
なのでCは5個扱いとなり、正しくは
oxacyclopentane
となる。
※別名:tetrahydrofuran またの名を THF

なので命名法の考え方としては

oxacyclo+アルカン(Cの総数=Cの数+Oの数)
ということになる。

ではもう一ひねり

はどうなるか分かるかな?
こいつについてはまずOの位置に番号を振るところから考える。

1と4だよね。
そしてまたOが2つなので2という意味のdiを頭につける。

先ほどの考え方に当てはめると

1,4-di+oxacyclo+アルカン(Cの総数:6=Cの数:4+Oの数:2)

だから

1,4-dioxacyclohexane

になるってわけだ。

ポリエーテル

さて、ポリは所謂ポリマー的なニュアンスからついている。
高校化学で出てきた高分子化合物を覚えているかな?
ようはその中にエーテルが混じっているものと考えてもらったらいい。

ポリエーテルは界面活性剤とか乳化剤とか薬学では外せない素材に使われている。
そして有機化学で特に重要なものとして、以下のような
環状のポリエーテルであるクラウンエーテルっていうものがある。

こいつの命名方法は単純で、
原子の数-クラウン-Oの数-(エーテル)
で表現される。
※エーテルは省略されることが多いので()にしています。

<小噺>
最初から今まで見てきてくれた人は
発見者はクラウンさん?
と思うかもしれない。

残念ながら今回は違っていて
発見者はチャールズ・ペダーセンという人だ。
※ノルウェーと日本人のハーフで日本名で良男って言う名前も持っていたんだとか…

クラウンの由来は
化合物の形が王冠(クラウン)に似ていたから、なんだ。

大分長くなったけど最後まで読んでくれてありがとう。

ではまた次回。

© 2019 猫でもわかる有機化学