それでは続きから。
まずは下の図を見てみよう。
さて何か気づくことはないかな?
そう、カルボニル基はsp2混成軌道を持っているんだ。
※同じような話は 応用編:アルケンの特徴① でもしているのでこちらもどうぞ。
知ってのとおりsp2混成軌道どうしは重なり合ってσ結合を形成する。
そして二重結合のもう1つの結合であるπ結合は
CとOにそれぞれ1つずつある電子が持つp軌道を形成している。
またsp2混成軌道を持っているということからも分かるように
カルボニル基は平面構造なんだ。
※p軌道はこの平面構造に垂直だと考えてほしい。
さてここでポイントなんだけど
アルケンの二重結合に構造は似ているが
結論としてはカルボニル基の結合の方が強力になる。
理由としては以下の2つ
・Oが2セットの孤立電子対(※)を持つ
・電気陰性度はO>C
※共有結合に関与していない電子対のことね。
この2つのおかげで、C=Oは以下のように大きく分極している。
※ここら辺は 基礎編:酸性の強弱 誘起効果のあたりに書いてます。
結果
C は 求電子性
O は 求核性
を持つことで
大きな分極が起こり、結果強力な結合になってるってわけです。
これは↑で説明した内容に関連するけど
分極が発生することで分子間で相互作用しやすくなる。
これで何がおこるかというと
沸点が同程度の分子量を持つ炭化水素より高くなる。
※詳しい話は 基礎編:原子、分子の間に働く力 をご参照
まぁこういうのは
例を見た方がわかりやすいので以下で確認して下され。
そして分極したOを持っている
ということでもう一つ特徴がある。
そう、水素結合が可能なんだ。
このため
CH3CHO(acetoaldehyde)
(CH3)2CO(acetone)
みたいな分子量が小さいアルデヒドやケトンは水と混ざることできる。
ここでいう“小さい”というのはCが5以下の場合ね。
逆に言うならCが6個以上になると水に溶けにくくなるっていうことでもあります。
ちょっと短いけど今回はここまで~
次回は合成をやっていきます。
ではまた次回。
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