α,β—不飽和カルボニル化合物の特徴

さて今回からは、ちょっと前の
応用編:エノラートとエノールの反応③
で登場したα,β-不飽和アルデヒド(今回からケトンも)について

初出の時に少し説明したけど
アルデヒド及びケトンの隣にα、β炭素に二重結合があって
二重結合(三重結合も含むよ)が不飽和っていう意味だから
こういう名前になっています。

代表的な反応は、これまた既に紹介済みだけど
アルドール縮合によっておこる以下のような反応だ。

では例によって「特徴」から
ポイントは今回は少なめなのでさくっといきます。

1.構造
2.共鳴

それではいってみよー。

1.構造

(1)官能基

まずは官能基について

上図から分かるように
・カルボニル(C=O)
・アルケン(C=C)
の2つの官能基を持つ化合物だ。
この2つが合わさっている官能基をまとめて
エノン(enone)
と呼ぶ。
またこういった官能基を2つ持っている化合物のことを
二官能性化合物(difunctional compound)
なんていったりもします。

ここら辺はまぁそんなものがあるくらいに思ってもらったらいい。

(2)求電子性

さてお次は求電子性について

詳細は理由とかは次の共鳴で説明するけど、
上図から分かるように
・カルボニル炭素
・β炭素
の2か所が求電子的になっている。

つまりはこの2か所は求電子攻撃を受けやすい、という特徴があるってことです。

2.共鳴

さてさっきの求電子性がある理由についてだ。
まぁタイトルの通りになるんだけど
α,β-不飽和カルボニル化合物をぱっと見た時に何か気づくことはないだろうか?

そう、共役な構造だよね。
※共役については ジエンの特徴①

なので以下のように共鳴できるんだ。
※ここではアルデヒドを用いて説明していますが、当然ケトンも同じです。

また、共鳴構造が複数書けるってことは…
そう、安定化するんだ。

ちなみに似たような化合物で
β,γ-不飽和アルデヒド
っていうのがあるんだけど、まぁさっきの説明で分かるとおり
こいつは共役していない
だからα,β-不飽和アルデヒドのように共鳴はできないってことです。

つまり、安定性
α,β-不飽和アルデヒド>β,γ-不飽和アルデヒド
となる。

だから、酸や塩基などのきっかけがあるとすぐに転位して安定
α,β-不飽和アルデヒド
になってしまうってわけなんだ。

念の為、反応機構も紹介しておくね。

(1)塩基性条件の場合

(2)酸性条件の場合

まとめると、α,β-不飽和カルボニル化合物の特徴としては
共役により安定
求電子攻撃できる箇所が2つある
ってことだね。

 

ではまた次回。

 

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