アミンの合成②

それでは続きから~

4.間接的アルキル化法

前回少し触れたけど今度は直接的ではなく関節的

具体的にはRにアミンではないものをくっつけた後
還元によりアミンを作り出す反応だ。

前回最後に直接的アルキル化法では、第1級アミンだけを作れない
っていう点を解説したよね?

では第1級アミンをだけをゲットするにはどうしたらいいだろうか?

そう、 反応を1度だけしてくれるアミン があればいいんだ。
そこで編み出されたのがこの方法です。

行程を簡単に書くと
最初からアミンを使うのではなく
アミンより反応性の低い
窒素求核剤(CN、Nなど)を使って求核置換反応を起こし
その後シアン部分をアミンに戻します。

ここでは代表的な求核剤3つについて説明していくよ。
それではいってみよー。

(1)シアン化物イオン(-CN)

①求核置換反応

まずタイトルの通り
シアン化物イオンとハロアルカンを求核置換反応させ
アルカンニトリルを作ります。

②還元

そしてアルカンニトリルを還元することでアミンができます。
※反応の詳細は カルボン酸誘導体-アルカンニトリル② に書いてます。

 

(2)アジ化物イオン(N

フライにしたら美味しそうな単語が入っているけど全く関係はありませぬ。
他にもアジド[azide]って呼ばれたりしています。
構造は以下のような感じ。

これを見て想像がつく人もいるだろうけど結構不安定な物質で
実は爆発性が強いという物騒な性質があったりします。

話がそれた…ので戻して、先ほど同様に順番に反応を見てみよう。

①求核置換反応

まぁさっきと同じだね。
アジ化物イオンとハロアルカンをry…。

②還元

続いてこいつをLiAlH等で還元すれば完成だ。

反応機構をまとめるとこんな感じです。

(3)Gabriel法

これはドイツの化学者
ジークムント・ガブリエルさんが発見した第一級アミンの合成法だ。
まずは反応機構を

基本的には今までと同じような感じで
フタルイミドでハロアルカンと求核置換反応起こした後
加水分解によりアミンを作る。
ただし見ての通り2段階反応ではないのでちょと手間がかかります。

①フタルイミド(求核剤)の合成

まずフタル酸をアミンと反応させ、フタルイミドを合成する。
教科書なんかではアミンを反応しにくいものに変換している
という意味合いでアミンの保護っていう書き方をされたりしています。

②フタルイミドのイオン化

弱塩基で脱プロトン化し、イオン化します。

補足として
イオン化するときの塩基はKCOじゃないといけないとかではなく
弱塩基でも問題はない。
なぜならフタルイミドのpKaは8.3とアルコールなどよりも低く
普通にHを出しやすいからだ。

そしてフタル酸はイオン化すると以下のように共鳴出来るので
ある程度安定しております。

③求核置換反応

そしてようやく(ハロアルカンと)求核置換反応させる。

④加水分解

ほんでもって酸性条件で以下のように加水分解します。
これにより①で合成した保護の役割をしていたフタルイミドが
外されるので脱保護と呼ばれたりしています。

⑤アミンの遊離

最後はアンモニウム塩と塩基を反応させ、余分なHを取り除く。
これによりアミンが合成できる、というわけ。

さりげなくフタル酸もNaがくっついているけど
こいつはこれでになり、水に溶けてくれる
一方でR-NHは水に溶けにくい(一番Rが小さいCHNH以外ね)。
つまりは分液漏斗などで分けれるようになるんだ。

以上がGabriel合成になります。

メリットは確実に第一級アミンをゲットできること。
デメリット他の合成に比べてしょうがないけどひと手間かかっちゃうところだね。
またフタル酸からできるフタル酸エステルは発がん性がある事が分かっているので
日本では規制されております。
くれぐれも誤って作ってしまわないよう注意しましょう(-_-;)

アミンの合成は以上で~す。

ではまた次回。

 

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