それでは求核置換反応の2つ目
SN1反応について説明するよ。
例によって概要から
求核置換反応でも紹介しているけど、
SN1の由来は反応速度に関わる分子が基質の一分子だから、だ。
さてカンのいい人なら疑問に思う事だろう。
「あれ、求核剤は?」
ってね。
では細かく見ていこう。
まずは下の反応を見てほしい。
まずSN2反応では同時に起こっていた基質と求核剤の反応が
2段階になっていることに注目いただきたい。
①の反応は基質に関わるものだ。
そして
②の反応は求核剤に関わるものだ。
だけど結果としては
反応速度=k[基質]
となる。
おそらく、なんで?って思うよね(笑)。
答えと言ってしまうと
①(ハロアルカンからハロゲンが脱離する反応にかかる時間)と
②(求核剤が攻撃する反応にかかる時間)を比較した時、
①の時間が圧倒的に長いからなんだ。
どれくらいかというと…まあ反応によって差があるのでざっくりいえば
フリーザ様(戦闘力53万)
と
ラディッツにやられた農家のおじさん(戦闘力5)
の戦闘力くらいの差がある。
※分からない人は「ド●ゴンボール」を…
まぁ
お話にならない
レベルということは分かってくれたかな?
で、この一番時間がかかっている部分を律速段階という。
まぁこっち系の人あるあるみたいなもので
これを知っている人はよく「~が律速段階になってる」という言葉を使いたがる。
「○○さんのところがこの仕事の律速段階だよね」
などと言われたら
※多分そんな言葉を使う人間は十中八九面倒くさいヤツなのだけれど
間違いなく嫌味なので注意したほうがいい。
さてそれでは、上をもう少し掘り下げていくよ。
まずは下図を見てほしい。
実際はH2Oがいて
攻撃した後は脱プロトン反応(H+を除去して共役塩基を作る反応ね)が起きて
2-methyl propanolが生成されますよって話。
何故脱プロトン化が起こるのかっていうとH2Oは溶媒で
周りにたくさんあるから起きやすいの(より安定をもとめてね)が理由だよ。
さてそれでは最後に律速段階でできる
中間体のカルボカチオン
のについて説明して〆ようかな。
これについてはまず 基礎編:混成軌道 を思い出してほしい。
電子の反発を最小にするためにはsp2混成軌道、すなわち平面構造をとっていたよね。
だから下の図のように前でも後ろでも求核剤の攻撃しやすさは変わらない。
ということは、H2Oが攻撃された後、S,R体のラセミ体が生成されるってことなんだ。
例えば②:メチル、③:エチル、④プロピル
さて概要はこんなところかなSN2を理解していれば割りとスルっと入ってきたんじゃないでしょうか?
ピンとこなければ 基礎編:SN2反応 を読み返して見るといいかも。
ではまた次回。
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