ラジカルの安定性

今回はラジカルについてもう少し掘り下げてみるよ。
ずばりラジカルの”安定性”について。

ようはどういったラジカルがより
“安定”(反応しにくい)
なのか
“不安定”(反応しやすい)
なのかってことだね。

今回の要点は1つだけ、ではいってみよー。

超共役

基礎編:酸性の強弱 でもちょろっと出てきたこの言葉。
教科書的な意味としては
σ軌道の電子がエネルギー的に近い位置の空のP軌道相互作用する現象
のことを指すよ。
これだけだと「でっ?」って思う人も多いよね。
なのでまずは以下を見てほしい。

どういうことかというと、ラジカルの電子は一つのままだと永遠に不安定。。。なんです。
だったら近くの電子(図でいうとCのσ結合の電子)が一時的ラジカル電子側に行き来してくれると、少し安定性が高くなるってことだよ。

余談として、ラジカルはCに引っ付いてるアルキル基の数ごとに1級、2級、3級ラジカルっていう言い方をする。
なんとなく想像はつくと思うけどラジカルの安定性は以下の通りになる。

3級>2級>1級>メチル

一応解説をしておくと、なぜなら

アルキル基が増える =  周囲のσ結合の電子が増える

からだ
ということは先に説明した「ラジカルの電子を安定化させてくれるσ結合の電子」が行き来きしてくれる頻度も増えるっていうことになるよね。

改めて図にしていみるとこんな感じです。

 

* * * * * * * * * * * * *

これだけだとちょっとさみしいのでラジカル関係でもう一つトピックを。

ラジカルの構造

を簡単に紹介しておくね。

まずはどういった状態になっているのか?なんだけれど
ご存知の通りラジカルはCから結合が3本出ている状態なんだよね。
なのでsp2混成軌道(平面三角形)になっているんだ。

ただラジカルになる前の状態はsp3混成軌道(正四面体)の状態なので

こんな感じになる。

この時、四面体(109.5°)平面(120°)になる
こうなるとどうなるかっていうと立体反発(立体障害ともいうよ)解消されるんだ。
立体反発っていうのは分子間で分子同士が隣り合ってぶつかることで、分子が動ける範囲に制限が出来ることだよ。

分子モデルの球棒イメージを見てもらうと分かりやすいんだけど
四面体はかちっとしてほぼ動けない状態なんだ。だけど平面になることによって上下に動ける範囲が広がるんだよね。

だから

ラジカルになる = 反発が解消される

ってことになるんだ。
もうお察しかもだけど立体反発の解消度合も

3級>2級>1級

の順番になる。
理由としては

CH3とHの大きさの違い

を考えてもらえば・・・分かるよね?

立体反発は有機化学の反応に関わる部分が大きいのでついでに紹介してみた。
またちょいちょい出てくると思うので頭の隅の方にでも置いておいてね。

ではまた次回

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