前回の分子軌道では
同じ軌道の組み合わせで結合が出来る
ことを紹介したね。
では異なる軌道(例えばs軌道とp軌道)の間には何が起こっているのか、今回はこの部分について考えていくよ。
まず混成軌道という言葉について
要するに何なの?って人が多いから最初に説明しておくね。
これって複数の異なる軌道を混ぜて作られた軌道、という意味の造語なんだ。
だから実際に存在しているものではないんだよね(汗)。
ただ有機化学の反応を考える上で都合がよいから使われている、そんなものだよ。
基本的に結合数(単結合、二重結合、三重結合)で分けて考えられるよ。
では順に解説していくね。
これは単結合のみで構成された分子の場合にできる。
要するに結合が4つある場合だよ。
簡単な例えとしてはCH4
下図のようにCの2s軌道の電子1つが2p軌道に移動して電子を受け入れられる4個の軌道ができる。
そこに4つのHの電子が入っていくことでCH4になる。
なんとなく察してくれていると思うけど、Cのs軌道1つ、Cのp軌道3つから新しい軌道が出来ているよね。
だからこの混成軌道はsp3混成軌道っていう呼ばれ方をしているよ。
なんでこんなこと起こるのかっていうと、上の図にちょこっと描いているけど、エネルギー的にはp軌道よりsp3混成軌道のほうが低いからなんだ。
理由は言わずもがな、分子はより安定な形を取ろうとするからね。
あとこのときの分子の形はCに結合している4つのHの立体反発を最小限にするために基本的に正四面体(下図)になるよ。
どこかで見たことある形になんじゃないかな?
つまりこの形にもきちんとした意味があったっていうことだね。
これは主に二重結合を1つ持つ分子の場合にできる。
簡単な例えとしてはCH2=CH2。
下図のようにCの2s軌道の電子1つが2p軌道に移動して電子を受け入れられる4個の軌道ができる。
そこに2つのHの電子と1つのCの電子が入っていくことでCH2=CH2になってわけ。
sp3混成と同様、今度はCのs軌道1つ、Cのp軌道2つから新しい軌道が出来ているよね。
だからこの混成軌道はsp2混成軌道っていう呼ばれ方をしているよ。
上図にもちょろっと書いてるけど今回は電子が1つあまっちゃうのね。
だから下図のような感じで二重結合を作ります。
ほんでもって構造としては立体反発の最小限にするために平面構造(下図)になるよ。
さてこれで最後だよ。
これは主に三重結合を1つ、もしくは二重結合を2つ持つ分子の場合だよ。
簡単な例えとしてはCH≡CH。
下図のようにCの2s軌道の電子1つが2p軌道に移動して電子を受け入れられる4個の軌道ができる。
そこに1つのHの電子と1つのCの電子が入っていくことでCH≡CHになってわけ。
もう解説不要だとは思うけど、今度はCのs軌道1つ、Cのp軌道1つから新しい軌道が出来ているよね。
だからこの混成軌道はsp混成軌道っていう呼ばれ方をしているよ。
こいつもsp2混成軌道と同様に電子があまっちゃう。それも2つ。
だから下図のような感じで三重結合を作ります。
こちらも立体反発(角度がないけどね)の最小限にするために、直線構造(下図)になるよ。
結合の話がちらほら出てきちゃったので
そっちがわからなかったら 結合 を読んでみてね。
ではまた次回
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