それでは続きからー
さてまたもやお決まりのアルコールとの反応について
水の時でもそうだったけど今回も酸or塩基触媒が必要です。
具体的には以下のように酸や塩基触媒を用いてアルコール(CH3OHを例にします)と
エステル交換(transesterification)
と呼ばれる反応を起こすんだ。
これにより遊離のカルボン酸を経由せずに
他のエステルに直接変換できる。
※加水分解、エステル反応の2段階を1つでできるってことだね。
ちなみにこいつも可逆反応なので
平衡を右に移動させるためにアルコールを大量に使います。
※例えば溶媒をアルコールにするとかね。
そして酸触媒の反応機構は下の通り。
そして塩基触媒の反応機構はry。
見た感じでお察しだと思うけど
2.水との反応 で紹介した加水分解反応の
H2O(水)がCH3OH(アルコール)に変わっただけだよ。
なので覚えやすいのではないかな、とは思います。
さてアミンについて
応用編:カルボン酸誘導体-ハロゲン化アシル②
で重要点を紹介したのだけれど、覚えているかな?
そう、
アミンはアルコールより求核性が高い
という点だ。
これまでの関係性を理解していればすっと分かるんと思うんだけど
結果としてエステルは以下のようにアミンと反応してアミドになることが出来るんだ。
※これについては触媒は必要ないけど、加熱(といっても数百度)は必要です。
反応機構は下の通りです。
※ハロゲン化アシルの時と同じ。
Grignard反応剤については
応用編:アルコールの合成③
で紹介しているので忘れていたらそっちを読み返してみてください。
こいつも 応用編:カルボン酸誘導体-ハロゲン化アシル② を参考にして
2当量のGrignard反応剤と反応させることで
以下のようにアルコールを作ることができます。。
この例だと第3級アルコールができてるけど
ギ酸エステルを使った場合は上の黒いRがHになるので
第2級アルコールになる。
ここら辺はそのまま覚えようとしてよく失敗しがちだからご注意を。
そして反応機構は以下の通り。
まずRMgBrによる1回目の求核攻撃でケトンができる。
だけどここで止めることはできなくて、以下のようにもう1度RMgBrが攻撃が行われるんだ。
※RMgBrが2当量必要なのはこのためでもあります。
最後にMgBrをとるために酸性溶媒で後処理し、アルコールができるってわけだね。
ヒドリド反応剤については
応用編:アルコールの合成②
で紹介してい ry…
こいつも 応用編:カルボン酸誘導体-ハロゲン化アシル② ry…
以下のように0.5当量のLiAlH4によって
エステルをアルコールに還元することができます。
そして反応機構は ry…
まず1つ目のHがアタックしてアルデヒドができる。
※アルデヒドでは止めることはできない。
続いてすぐにアルデヒドに2つ目のHが攻撃。
その後、酸で後処理したらアルコールができます。
さてちょっと余談になるんだけど
「※アルデヒドでは止めることはできない。」とは書いたんだけど
反応性が低い還元剤を用いればアルデヒドで止めることもできる。
例えば、
diisobutylalminum hydride
・略称:DIBAL
・日本語名1:水素化ジイソブチルアルミニウム
・日本語名2:水素化ビス(2-メチルプロピル)アルミニウム
なんてものがあって、これは以下のような構造をしている。
まぁ見ての通り、これで反応機構を書くのはとても面倒なので
isobutyl部分は頭文字とってi-Buと略すのが一般的です。
こいつを使うと以下のようにアルデヒドの段階で反応を止めることができる。
なぜかっていうとLiAlH4と違って、Al部分に電荷がないからだ。
ピンと来なかった人に何度も言っている言葉で伝えるなら
「安定な状態」になっているからなんだ。
つまり、わざわざ今の状態を変えてまでHを捨てる必要ないっていうことだね。
なので穏やかな反応になります。
DIBALはLiAlH4と違って安定なので
溶媒は当たり障りのないtoluene(トルエン)で、しかも温度も低温でいけちゃいます。
反応機構は以下のような感じ。
ではまた次回。
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