それでは続きからー
さて前回の 応用編:エノラートとエノールの反応② の(1)ケトンとアルデヒド
でもちょっと単語が出てきた アルドール縮合 について
簡単に復習すると
エノラートイオンが求核攻撃することで炭素-炭素結合ができる
だけど、これを1回で終わらせることは難しいっていう話だね。
ということでこの1回では終わってくれない繰り返される縮合反応について
4つに分けて説明していきます。
ちなみにアルドール(aldol)っていうのは
aldehyde alcohol を由来とする
1つの化合物にアルデヒドとアルコールを持つものだ。
※あまり知られていないけど
某詐○健康食品に多いコラーゲンは
アルドール縮合でつながりが強化されているやつだったりします。
そもそもアルドール縮合(aldol condensation)はアルデヒドに一般的な反応のこと
なので一番オーソドックスなものを思ってくれればいい。
今回は以下を例に確認していきます。
まず反応機構について。
①エノラートの生成
これはお馴染みのヤツだね。
ぶっちゃけてしまえば安定性は
アルデヒド > エノラート
なので平衡は左に傾いているけど
少量エノラートができれば②の反応がおこります。
②エノラートの求核攻撃
アルデヒドにエノラートが求核攻撃しているよね?
こいつの影響で平衡がちょっと右に傾きます。
③プロトンの付加
最後に最初にOH-が奪った水素を取り返すことで反応が終了する。
※アルドールはβヒドロキシカルボニル化合物とも言います。
この場合も平衡は右に傾く。
順を追ってみると
①は不利な反応だけど、
②、③は反応生成物の方に平衡を傾く状態になるよね?だから反応が進むんだ。
このアルドール縮合は穏やかな反応で
だいたい出発物質の50~60%がα,β―不飽和アルデヒドになったところで反応は止まるよ。
さてちょっと隠していたことがあるんだけど
これはあくまで低温(5℃くらい)でやった場合の話なんだ。
なので加熱すると、もう一段階別の反応が起こるんだ。(それが④になります)
④アルドールの脱水
加熱するとアルドールが脱水してα,β―不飽和アルデヒド(※)ができる。
※アルデヒドの隣のα炭素とβ炭素に二重結合がある状態のことね。
ちなみに不飽和とは二重、三重結合のことです。
単結合は飽和と言います。
こいつについては別の単元で説明しようと思います。
-OHは脱離しやすいってわけでもないんだけど
生成物が共役(C=CとC=O)によって安定化されるため
熱力学的に有利になる…よって平衡は右に傾きます。
以上のことからアルドール縮合は温度によって生成物が変わることがわかるね。
まとめると
低温→β―ヒドロキシカルボニル化合物
高温→α,β―不飽和アルデヒド
となります。
ではまた次回。
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