では前回の続きから
水素化熱自体はアルケンで紹介済みのものなので詳しくは
応用編:アルケンの特徴③
をご参照。
ポイントとしては水素化熱の大小に
アルケンがどう関わっていたか?だ。
そう、アルケンが不安定なほど大きくなっていたよね。
ジエンはアルケンから二重結合増やしたくらいにしか見えないので
同じものができる場合の水素化熱は
-30.3×2=-60.6kcal/mol
となりそうなんだけど、なぜかそれよりも低い
-57.1kcal/mol
になる。
上記の通り何となくだけど単純にアルケン2つの場合で推測
した結果に近いものになる。
で何が言いたいのかというと、ようは共役ジエンは
何かしらの要素が組み合わさって安定化している
ということだ。
ではその要素とは何なのか?
詳しくは次の構造で紹介するよ。
なんとなく似たようなものを見た覚えがないだろうか?
そう
応用編:アリル系の特徴②
の 4.構造 で紹介した軌道の状態に似ているよね。
今回も同じことで、ようはπ電子が非局在化されているんだ。
だからより安定な状態になっているんだ。
そしてこのためC-Cの結合の長さは
C=C結合とC-C結合の長さの中間位になっています。
また、ジエンは下のように2つの平面型配座をとれる。
上記の通り、それぞれをs-trans型立体配座、s-cis型立体配座っていうんだけど
このsはsingleすなわち単結合の意味で
単結合部分を基準にしてcisかtransかの名前を付けているんだ。
ちなみに安定性でいうと
s-trans型立体配座>s-cis型立体配座
になる。
理由としてはs-cis型の場合、立体障害が発生するからだ。
※図の黄色の箇所のことね。
特徴は大体こんな感じかな。
次回はこれらの特徴をもとにジエンの反応について考えていくよ。
ではまた次回。
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