Diels-Alder反応②

それでは前回の続きから~
残り2つについて解説していくね。

3.立体保持

どういう意味かというと、まず以下の反応を見てほしい。

求ジエン体のcis、transがそのまま残っているのが分かるかな?
まぁ前回のDiels-Alder反応①で反応機構を紹介しているので
なんでこうなるのか、はなんとなく検討がつくよね?
※ポイントは一方向から近づいてるからだよ。

あとなんとなくわかっていると思うけど
こいつらは両方ともラセミ体だ。

そしてこれはジエン体に置換基がついてる場合でも同様になる。
例えば以下のような感じ。

上のようにcis,transが2つある場合、極端な話
cis,cisかtrans,transの場合 → cis体
cis,transの場合 → trans体
と覚えてしまっても問題はない。

でもやっぱり以下のように
反応したているときにどういった状況になっているのか?
を理解していた方が間違いない。

立体保持が大枠で大事なことになるんだけど
このこともしっかり押さえておいて下され。

4.endo則

さて聞きなれたい単語が出てきたね。
endo というのはギリシャ語で「内側」のこと。
あと説明中に exo という単語が出てくるのだけれどこちらは「外側」という意味だ。

さてでは上記を踏まえたうえで以下の反応を見てみよう。

簡単に説明すると
exo付加物
endo付加物
は、二環式構造化合物(Bicyclic molecule)で見られる
立体異性体を区別するための言い方で、
図の上に向かってとがってる部分(メチレン架橋)と
同じ側(シス)にある場合が exo付加物
逆側(トランス)にある場合は endo付加物
になる。

もうちょっとわかり易い図にすると以下のような感じ。

で、この2つのでき方は以下の通り。

さてここで考える場合は主生物がどちらなのか?
という点だ。
でき方を見てると立体障害でexo付加物の方が主生物になりそうな感じがするかもしれない。
だけど、この反応でいうとendo付加物が主生成物となる。

理由は上図で立体障害に見える
電子求引基COOCH
遷移状態で近づいてくるジエンと相互作用し安定化するからなんだ。

まぁそんなにエネルギーが下がるわけではないらしくて
影響としてはわずからしいんだけど、そのわずかな力が勝敗を分けている、らしい。

ただ上にちょこっと書いているけどこれはこの反応においては、なので
立体的な影響を受けやすいせいか、exo付加物が主生物なんてこともあります。
※分子内でDiels-Alder反応起こす場合はまずendoの形が不可能なことが多い。)

まぁとりあえず難しい条件などを考えなければ基本的に
Diels-Alder反応ではendo付加物が主生成物になる
ということでOK。

そんなところでDiels-Alder反応の概略はこのくらいにして
次回は反応速度に影響について説明しようかと思います。

ではまた次回。

 

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