カルボン酸の反応①

さて今回からカルボン酸の反応!に入っていくんだけど
まず最初に
今までで紹介しているものは飛ばします。
※例えばエステルの合成なんかはアルコールの反応③でやってるよ

で、残ったものは今回説明する
カルボン酸誘導体(carboxylic acid derivative)
が9割以上をしめているので、こいつを中心にしたお話になる。
内容としては以下のような感じで進めます。

1.カルボン酸誘導体
2.Hell-Volhard-Zelinsky反応
3.カルボン酸の還元

それではいってみよー。

1.カルボン酸誘導体

さて、さっそく肝となる
カルボン酸誘導体
について解説していこう。

まず化学式は以下になる。


Nu:求核剤(Nucleophile)

まぁ最初のうちは、Nuの部分は何でもいいって思ってくれればいい。
※実際にはヘテロ原子(炭素、水素、金属以外の原子)です。

ポイントは
カルボン酸(COOH)のOH部分が別のものに置き換わったもの
ということなんだ。

一例をあげると

なんかがある。まぁ細かい話は追々していきます。
まぁこんなものなんだよって思っていてくだされ。

(1)基本的な合成方法

基本的な流れは以下だ。

L:脱離基(Leaving group)
OHでも何でもOKと思ってください

勘のいい人はこの見た目で
カルボン酸誘導体は求核置換反応によって起こっている
っていうことがわかるんじゃないかな。
※分からなかったら カルボン酸の特徴 辺りを読んでみよう。

カルボン酸(COOH)は
C=O(カルボニル基)、OH(ヒドロキシ基)が合体したものだと説明したと思うけど
この影響による為かカルボニル基部分はアルデヒドやケトンと似た反応を示すんだ。
つまりC=Oの
Cは求核剤の
Oは求電子剤による
攻撃を受けやすいってことなんだ。
※分からなかったら アルデヒドやケトンの反応 辺りを読んでみよう。

ではOH部分はアルコールの反応と同じになるのか?
と思うかもしれないけど、ここはちょっと事情が変わってくる。

こいつはC=Oが隣にあるおかげで普通のアルコールとは違った反応を示すんだ。
どういうことかというと、OHは求核置換反応の脱離基になるんだ。

そして求核置換反応が起こればOH部分を別のものに置き換えることができる。
この置換反応によりできた新しいカルボニル化合物がカルボニル誘導体というわけ。
※ただしアルデヒドやケトンは求核攻撃によって求核剤が付加した付加生成物になるけど
カルボン酸誘導体はOH部分が置き換わるので注意しよう。
参考 応用編:アルデヒドとケトンの反応①

さて最後にこの反応についてのトピックを
・求核剤(Nu)が付加し、脱離基(L)が脱離しているので
付加―脱離(addition-elimination)
と呼ばれる
・最初に生成する化学種は4面体の炭素中心を持つので
四面体中間体(tetrahedral intermediate)
と呼ばれる
酸触媒、塩基触媒のどちらでも進行する。

ということで各触媒の反応機構を紹介して閉めたいと思います。

酸触媒の場合

塩基触媒の場合

ではまた次回。

 

© 2021 猫でもわかる有機化学