カルボン酸の特徴①

カルボン酸自体はだいぶ前から出てきてたけど個別に詳しい話はしていなかったよね。
と、いうことで今回から改めてカルボン酸を詳しく解説していきます。

最初に紹介した内容でいうと。
エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸
の流れを覚えているかな?
※詳しくは 応用編:アルコールの反応①

上の反応を見るとカルボン酸(carboxylic acid)は
酸化された物の最終生成物
っていうイメージ見えてしまうので、もしかしたら

ヒトカゲ→リザード!→リザードン!!

みたいに最終進化で激レア!みたいに仰々しく感じてしまうかもしれないけどそんなことはなく
むしろコラッタみたいにありふれた存在で、たくさんの日常製品の中にひっそりと存在しています。

例によって特徴から、ポイントは以下の3つ

1.命名法
2.構造的及び物理的性質
3.酸性及び塩基性

それではいってみよー。

 

1.命名法

さて毎度おなじみの命名法だけど
最初に説明したようにカルボン酸は日常にありふれた存在だ。
で、これがどういうことかというと昔から存在は認知されていて日常生活でよく使われていたものも多い
つまりは慣用名がついているものが多いんだ。
なのでちょっと混乱することもあるかもしれないけど、そこは補足しながら説明しようと思います。

(1)基本

まずは基本となる体系的命名法(IUPAC命名法)について説明していこう。
こいつについてはalkaneの名称の最後のeをoic acidへ変更すればOKだ。
つまり、alkanoic acidが基本的な形となる。
※日本語名だと~酸になります。

で、以下が慣用名。

慣用名については 応用編:アルデヒドとケトンの特徴① でも触れたけど基本覚えるしかない。

ただカルボン酸についてはちょっとした傾向があって
そのカルボン酸が最初に単離された天然の由来(原料名)を指している場合が多いんだ。
例えば
ギ酸(蟻酸)
→formic acid(ラテン語でアリはformica
酢酸
→acetic acid(ラテン語で酢はacetum

って感じです。

(2)他の官能基ついてる場合

さてタイトルのままなんだけど、毎度悩まされているかもしれない他の官能基がついている場合について
まぁややこしいものは実践あるのみなので今回は以下を例として見てみよう。

覚えている人もいるかもしれないけど
何はともあれまず第一に考えるのは優先順位だ。
忘れていたら 基礎編:命名法 あたりを読み返してほしい。

確認してもらったら分かる通りカルボン酸の官能基は優先順位が高い
今まで説明した来たものの中では一番だったりする。
なので、よっぽど見たことのないような官能基でもない限り優先度高めで考えてもらっておいていい。

ということでまずはカルボン酸のCを1番とし、下のように番号を付ける。

そして主鎖は、カルボン酸以外の官能基ができるだけ多く含まれるものを選ぶ。
するとCが4つのカルボン酸が主鎖となるので
この名称の語尾はbutaneのeをoic acidに変えたbutanoic acidとなる。

続いて置換基だけど、カルボン酸以外の官能基はBr(bromo)とCH(methyl)だよね。
あとはこいつをアルファベットの順番に並べればいい。

結果、この例の名称は

3-bromo-2-methyl-butanoic acid

となる。
注意したいのが、これで終了ではないときがある。
例えば2番目のCなんだけどと結合する置換基が全て違っているよね?
つまりはこいつはキラル炭素になるんだ。
※忘れていたら 基礎編:光学異性体 辺りを…

なので仮にこの置換基4つの位置が決まっていると名前の頭に(R)又は(S)を付けることになるのでご注意を。

キリがよいので本日はこの辺で~

ではまた次回。

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