β—ジカルボニル化合物の特徴と反応④

それでは続きから~

5.Dieckmann縮合

さて初登場なのでまずは概要を

Dieckmann縮合(Dieckmann condensation)とは

以下のようにジエステルが環化してβ-ケトエステルができる反応です。

 

 

既出のもので分かりやすく言い直すと

分子内 Claisen縮合 になります。

参考:β-ジカルボニル化合物の特徴と反応②

名前の由来はいつもの通りで

発見したドイツ人科学者の Walter Dieckmann さんからきております。

↑で書いている通りで反応が起こる理由はClaisen縮合と同じで

脱プロトン化のおかげで反応が進んでいきます。

反応機構は以下の通り。

さて↑を見て

逆側(CHついてる方)の攻撃から始まらないの?

と思った人もいるんじゃないかと思います。

ただ実際のところはそういった反応にはなりません

理由は以下のように脱プロトン化できるHがないからです。

このどちら側から攻撃できるのか

よく勘違いしがちなので、注意しましょう。

 

ちなみにゆがみが少ない五、六員環が出来るときに

最も上手く進行するようになります。

参考:シクロアルカン

 

6.ケトンとエステルのClaisen縮合

こちらはタイトルン通りで

エステルは以下のようにケトンともClaisen縮合を起こすことができます。

またエステルやケトンの種類によっては以下のようにβ-ジケトン以外に

β-ケトアルデヒドや他のβ-ジカルボニル化合物ができることもあったりします。

さて続いて反応機構を見てみよう。

今回重要な点はまずケトンとエステルのどちらが脱プロトン化されるのか?

という点だ。

 

結論としては以下のようにケトンが脱プロトン化される

まぁここまで読んでいる人には今更な説明かもしれないけど

酸性度の大きさが ケトン>エステル だからだね。

 

なのでエステルからエノラートが生成されて

自己縮合(エステルと反応)を起こす前にケトンの方が脱プロトン化されるんだ。

こうなるとあとはClaisen縮合と同じ流れだね。

ちなみに気づいた人もいるかもしれないけど

この反応は先程説明した Dieckmann縮合 のように

分子内でも起こりえます

では最後に反応機構を。

今回のようなケトンやエステルについて

色々な反応が分子間、分子内でおこるということは

後々応用がきく便利なものになってくるので

しっかりと原因と結果を理解しておくようにしましょう~。

 

ではまた次回。

 

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