さて、お次はベンゼンの反応について説明していくよ。
ポイントは以下の6つ
1.芳香族求電子置換反応とは
2.ハロゲン化
3.ニトロ化
4.スルホン化
5.Friedel-Craftsアルキル化
6.Friedel-Craftsアシル化
では順番にいってみよー。
名前から分かるように
芳香族の性質を持つものが求電子置換反応を起こす反応、だ。
※ぶっちゃけてしまうと2~6もこれです。
超簡単にかくとこんな反応です。
ベンゼンは二重結合が3つもあり、電子が豊富なんだけど
ベンゼンの特徴で紹介したようにそこら辺のアルケンやジエンより安定なんだ。
なので反応を起こすには強い求電子剤が必要になってくる。
もっというなら反応をさせるために
強い求電子剤 要するに +に帯電した化合物
と反応させるのが手っ取り早い、ということなんだ。
この反応機構は基本的に2つあってこれが分かってれば大体何とかなります。
ハロゲンがHを奪って、余った電子が二重結合作ります。
この場合は共鳴しても生成物は変わらないけど
生成物が複数の場合もあるので、全体の動きによく注意しておこう。
さて1で書いているけど2~6も基本的には芳香族求電子置換反応
なのでここからはその応用になります。
でその一発目がハロゲン化だ。
とりあえず例を見ながら解説していこう。
FeBr3はルイス酸触媒(※)で、2つの役割がある。
※ルイス酸については 基礎編:酸・塩基の定義 を参照
1つ目は以下のようにBr2と反応することで求電子攻撃を起こしやすくすることだ。
求電子攻撃する一番左端のBrがとなりのBr+に-I効果(※)によって
電子がひきつけられて少し+の電荷を持っているんだ。
※忘れていたら 基礎編:酸性の強弱 を参照
さて勘のいい人はここで気づくと思うけど
2つ目の理由が出てきていのに気付けたかな?
そう、Br+がベンゼンに結合した後
残ったBr-と結合して安定化するためにもFeBr3が必要になってくるんだ。
そして言うまでもなくハロゲン化なので
F、Clも例えば以下のように反応させることができます。
さて気になる人もいるので解説しておくと
Fの場合、FeF3は使わない、というか使う必要がない…さてなんでだろう?
答えは単純でFは電気陰性度が一番高い原子だからだ。
これは言い換えるなら「酸化力がとても高い」ともいえる。
つまり触媒なんて使わなくても反応が起こる、ということだね。
さてここでも食い下がる人は当サイトをよく読んでくれている人だね、ありがとう。多分
「アルケンの反応② で反応が付加させただけでは止まらないって書いてたよね?
ベンゼンに1個つくだけじゃ終わらないんじゃないの?」
って思ったんじゃないかな?
一応これはにもきちんと理由があるんだけど
ちょっと話が広がりすぎちゃうので
別の単元で解説しようと思います。
さて、では最後に残ったIなんだけどこいつについては反応が起こらない。
理由は先ほども少し触れたけどアルケンの反応②でアルケンをハロゲン化させた時と同じで
吸熱的な反応になるからです。
ではまた次回。
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